ロゴ:人間塾〜人に出会い、人をつなぐ、人になる。〜

2021年スペシャル企画『人間塾と私』
塾生・修了生インタビュー

人 間 塾 と 私 1.

藤原涼香さん(塾生/第7期)

東京慈恵会医科大学5年在籍

藤原涼香さん(塾生/第7期)

私でもやって行けるかと、不安だった入塾前。

学費の高い私立の医大に入学した時に、「給付型奨学金と人間教育」が組み合わされた人間塾のスカラーシップを伯母から薦められたのが私と人間塾の出合いでした。入塾資格は大学2年からでしたが、私は1年の時から人間塾の小冊子を読んで、活動内容を十分に理解し、じっくりと考える時間がありました。しかし小冊子に登場する塾生の考え方や言葉が、自分に比べて余りにもしっかりとしていて、自分が果たして人間塾に入ってちゃんとやっていけるのか、そもそも入塾試験に合格できるのだろうかと、だんだん不安になりました。そして入塾面接では、その不安が見事に当たったのです。緊張とともに入塾の志望動機などを尋ねられる中で、「あなたは今まで親の言うとおりに生きてきたのではないの?」という厳しい質問が飛んできました。始めは「いいえ、違います」と力んで答えたものの、さらに重なる質問の前に何も答えられなくなってしまいました。後から考えると、実際は親に頼って甘えていたところがあったからだと思います。それが仲野塾長との初めての、そして忘れられない対話でした。幸いにも入塾が決まり、私が1年かかって自分で考えて選択したと言える、人間塾での生活が始まりました。

「あなたは、責任や不安から逃げている!」

人間塾に入って一番驚いたことは、塾生や修了生の方が、自分の生き方や、これから社会にどう貢献できるかについて、本当に真剣に考え、語り合っている姿でした。それは、今まで私が一度も体験したことのない議論でした。もともと私はみんなの前で自分の意見を発表する時にはとても消極的で、可能な限り人前に立つことを避けていました。自分の意見がみんなに反対されるかもしれないという心配や、期待に応えられるだろうかという責任を恐れて…。しかしある時、仲野塾長から「あなたは責任や不安から逃げてるんじゃないの!」とご指摘をいただいたことで、自分をごまかして逃げまわっていたことをはっきりと自覚し、以後はその自分の弱さに真剣に向き合うことができるようになりました。人間塾の活動で、苦手だった発表や自分の意見を述べての議論を繰り返す中で、それまでのような抵抗感はすっかりなくなっています。同時に、「親の言う通りに生きてきたのでは?」という質問で始まった人間塾生活の成果として、「自分の人生を自分で考えて、主体的に生きられるようになった」とも感じています。今だから言えるのですが、以前、私が不安や責任から逃げていたのは、自分に自信が持てなかったからだと思います。自分には才能も大した能力もない。だから社会への貢献といった大それたことは、自分にできるはずがないと諦めていたのだと思います。しかし、ある時私は仲野塾長の話の中で、自分を変えてくれたもう一つの言葉に出合いました。「誰もが自分に与えられた能力を余すところなく発揮して、社会に役立つために生きる」。この言葉を学んでから私は、自分にも何かきっと、社会に役立つための能力や才能が与えられているんだと、素直に信じられるようになったのです。

藤原涼香さん(塾生/第7期)

たくさん与えられてきた自分が、これからやるべきこと。

私は中学生の頃に『神様のカルテ』という本を読んだことをきっかけに、医者になれば人の役に立てるだろうと漠然とした思いを持ち続けてきました。しかし実際に大学で医学の勉強を始め、病院などでいろいろな場面を体験するうちに、ただ医師になるだけでは人の役に立てないと考えるようになりました。医師である前に、まず人として、誰かの支えになれる人間を目指そうと思うようになったのです。その頃の自分に大きな影響を与えてくれたのが、仲野塾長が毎年必ずお話される「ノブレス・オブリージュ」という言葉でした。「多くを与えられた者は、それに応じて果たさねばならない社会的責任と義務がある」という意味です。私はこれまで、恵まれた環境で育ち、学び、人間塾でも自分を見つめる機会と、スカラーシップという応援までいただくことができました。これだけたくさんのものを受け取ってきた人間として、これからは医師として私から社会に還元しなければいけない。それを学んだおかげで、自分の目指す医師に対する使命の意味、なかでも人々の中で一番守ってあげる必要のある子どもたちのために小児科医を目指すことの意味を、とても明快に自覚することができたのです。

藤原涼香さん(塾生/第7期)

覚悟の甘さを、強く叱られた日。

私には、塾長面談で起きた忘れられない出来事があります。私が「子どもが好きで小児科を目指していますが、病気の子どもを助けられなかった時や、命を救えなかった時に耐えられるか、心配です。」と相談したことがありました。するといきなり「そんな覚悟ならやめなさい!」という言葉が返ってきて、塾長にとても強く叱られたのです。「そんな気概がないことを言ってちゃダメだ!」と。その後で、塾長の知り合いの小児科医の先生がどんな思いで子どもに接しているかを教えてもらい、全力で励ましてくださいました。おかげで私は自分の覚悟の甘さにはっきりと目を醒ますことができたと同時に、この日からより強い自信と使命感を持って前に進むことができました。塾長がどれだけ本気で塾生一人ひとりに向かい合ってくれているかが、とてもよくわかっていただけると思います。

これから、人間塾と出合うあなたに。

最後に私から、これから人間塾に出合うかもしれない学生のみなさんにお伝えしたいことがあります。私自身が体験した人間塾は、奨学金を支給する他の民間団体とは一線を画した活動をしていて、塾生一人一人の未来を本当に心から信じ、応援してもらえる唯一無二の場所です。厳しくも温かい目で常に塾生を見つめていてくれる仲野塾長と壺井さん、それぞれ違った自分の使命を深く語り合いながら、一緒に頑張っていける塾生の仲間もいます。さらに修了してからも後輩のために時間を割いて、何でも相談に乗ってくれる多くの先輩たちもいらっしゃいます。私が先輩からたくさん与えていただいたように、今度は、これから人間塾に出合うみなさんのために役に立てたら、こんなにうれしいことはありません。

塾生同士で撮影(写真中央:藤原さん)

塾生同士で撮影(写真中央:藤原さん)

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次回は10月22日掲載予定です。
第2期生で修了生の森内勇登さんが登場します。
どうぞお楽しみに!