セミナー

【レポート】人間塾2020年度第15回ヤングセミナー

2020年10月9日

人間塾 第9期生 今村秀一朗
(慶應義塾大学3年)

2020年10月1日、人間塾第15回ヤングセミナーが行われました。今回もソーシャルディタンスを意識し、座席を交互にずらしながらの対面式セミナーです。

今回のテーマは、人間塾の設立者・井上和子さんの祖父にあたる石橋正二郎氏についてでした。石橋氏は、ブリヂストン・タイヤを創業し、数多くの社会事業を行ってこられた実業家です。

人間塾2020年度ヤングセミナー:真剣な眼差しの塾生たち

真剣な眼差しの塾生たち

塾長のお話は、石橋氏の生い立ちから始まりました。兄とともに家業の仕立物屋を継いだ石橋氏でしたが、「足袋」に将来性を見出して、足袋を専業にしようと方向転換します。足のサイズに関わらず価格を統一するという、当時としては革新的な価格設定を行い、これが評判になりました。その後も「地下足袋」や「ゴム靴」の製造で会社は大きくなり、この技術が現在のブリヂストン・タイヤに受け継がれています。

このお話の中で特に印象的だったのが、地下足袋の開発エピソードです。当時、日本には良質なゴムを生成する技術がありませんでした。そこで石橋氏が目をつけたのが、ドイツ兵俘虜として久留米に滞在していたある人物でした。石橋氏はゴムの合成技術に詳しいポール・ヒルシュベルゲル氏を正規の社員として雇い、地下足袋をはじめとするゴムの開発担当を任せました。

このお話の中で塾長がおっしゃった「正二郎さんは、身分や肩書きに囚われず、知恵を持った者を評価した」という言葉が特に印象的でした。「人を学歴で判断するのは愚かなことである」と私は幾度となく塾長に指摘されていました。俘虜という立場にある人の才能を、見事に見抜いた石橋氏のお話を聞き、大切なのはその人の肩書きや立場ではなく、内面の人間性にあるということを改めて痛感しました。

人間塾2020年度ヤングセミナー:楽しそうに意見交換

楽しそうに意見交換

次に、石橋氏が行った数々の社会事業についてのお話がありました。そして、石橋氏が残した「世の人々の喜びと幸福の為に」という言葉を紹介してくださいました。戦後、さらには高度経済成長期、国民の関心が物理的な豊かさに集まる中、石橋氏は心の豊かさに真の幸福を見出しました。実際、石橋氏は自身が経営する会社の社員を大切に思い、今でいう福利厚生を充実させました。ダンスホールや娯楽施設、またゴルフ場などを作り、社員に生活における楽しみを進んで提供しました。さらに、石橋氏の地元・久留米市の住民のために、医科大学や美術館、音楽ホール、図書館、病院などを寄付し、その土地に住む人々が安心して生活できる環境づくりに尽力されたそうです。

最後に、塾長は私たち塾生に対し、「君たちも正二郎さんのような人間になってほしい」とおっしゃいました。常に先を見据え、世の人のことを想い、そのための努力を惜しまない石橋氏の生き方は、まさに塾生が目指すべき姿だと感じました。そして、その石橋氏の人を想う気持ちは、孫の井上和子さんを通じて人間塾へ受け継がれているということを実感しました。私たちは、時代を超えて多くの方々に支えられているということを改めて感じ、そのことを忘れずに日々成長のため努力していきたいと思います。



塾長のそれでええやん!

塾長・仲野好重が日々を綴った連載
※連載は一旦終了しました。