ヤングセミナー
【レポート】人間塾2025年度第1回ヤングセミナー
2025年5月2日
2025年4月17日に、今年度初回となるヤングセミナーを開催しました。新しく14期生を迎え、最初は少々緊張した雰囲気で始まりましたが、やがて和やかな雰囲気になりました。第一回目ですので、「人間塾ノオト」を使いながら、塾の根幹となる理念について話しました。
今回のレポーターは第12期生の佐々木果音です。是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾 第12期生 佐々木果音
(国際基督教大学大学院1年)
去る4月17日、2025年度第1回目となるヤングセミナーが開催されました。春の穏やかな陽気に誘われるように集った第14期生の表情には、緊張の色も見受けられました。しかし、セミナーが始まると表情も徐々にほぐれ、和やかな雰囲気へと変わっていきました。
今回のセミナーは、『人間塾ノオト』を通じて、人間塾がどのような場であるかについて理解を深めるところから始まりました。『人間塾ノオト』は、コピーライター・榎本宏様とデザイナー・岡野成寿様が、仲野塾長の言葉の中でも特に心に響いたものを選び、若い世代へ伝えたいとの思いを込めて編まれた冊子です。中でも18頁に記された「人に出会い、人をつなぐ、人になる。」という言葉は、人間塾における学びの根幹をなすものです。「人に出会う」とは、すなわち他者の人生や多様な価値観に触れることを指します。例えば、どれほど質素な食事であっても、誰と共にするかによって、心身への影響は大きく異なります。このことは、人間の成長が他者との関わりの中にこそあると示しています。ゆえに、私たちは人と出会い、その出会いを大切にし、互いに学び合うことを忘れてはならないのです。「人をつなぐ」とは、一見異なるように見える他者とも心を通わせる営みを指します。さらに、人と人とを結び、つながりに対して感謝の念を抱くことにより、より深くつながることが可能となります。私たちは「出会い」という必然、「つなぐ」という営みを通じて、哲学的にも精神的にも「人」になることができるのです。
ここで、仲野塾長は、ある塾生のお話をしてくださいました。塾長が「あなたが手放したくないものは何か」と問いかけた際、その塾生は「これまで勉強してきた知識と技術」と答えたそうです。先人たちが惜しみなく知識を共有し、授業を通して直接教える、あるいは論文や書籍という形で残してくださっているからこそ、私たちの学びは成り立っています。もしも「知」を独占しようとすれば、それは「人をつなぐ」営みを断ち切ることに他なりません。塾長はこのような姿勢を「精神的ケチ」と呼び、つながりを損なうものであると指摘されました。
私は、入塾して3年目を迎え、大学院での学びも1年が経過しようとしています。これまで数多くの出会いに支えられ、つながれて、ここまで歩んできました。
しかし、先人から受け継いだ研究を自分の好奇心の充足にのみ用いるならば、塾長が警鐘を鳴らされた「精神的ケチ」に陥る危険があります。いかにして人とつながり、社会に貢献できるかを常に自問し、研究を進めていかなければならないと、改めて痛感しています。自己満足に陥ることなく、人に出会い、人をつなぎ、人になれるよう、気を引き締め直す、初回にふさわしい時間となりました。今年度も人間塾の塾生として、同期である第12期生、後輩である第13期生、第14期生と共に、さらに研鑽を積み、精進してまいります。
セミナー終了後には、専務理事である壺井さんのお誕生日を皆でお祝いしました。壺井さん、お誕生日、誠におめでとうございます。