ヤングセミナー
【レポート】人間塾2025年度第13回シンポジウム
2025年10月14日
去る2025年10月4日に、第13回目となる塾生主催のシンポジウムを開催いたしました。多くの方にご参加いただき、厚く御礼申し上げます。このシンポジウムは、塾生たちが自らテーマを掲げ、自分の経験や考えを自分の言葉で表現する機会です。今回もパネリストの3名は、自分の言葉で熱く語っていました。横で見ていて頼もしく感じました。
今回のレポーターは、第14期生の藤髙滉大です。是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾第14期生 藤髙滉大
(中央大学 4年)
去る10月4日、人間塾第13回シンポジウムが開催されました。人間塾シンポジウムは塾生が人間塾での学びや、その理念を多くの人に発信したいという思いから、塾生が中心となって企画・運営を行います。今回のテーマは「今の学びの目的は?〜答えのない問いに向き合うことから〜」でした。
今年度のシンポジウムは塾生による人間塾の活動紹介から始まり、仲野塾長による基調講演へと続きました。講演では、塾長がアメリカの大学院でスカラーシップを得て学んだ経験を交え、「人間塾の活動は、塾生への期待の表れである」と力強く語られました。
その後、14期生によるパネルディスカッションへと移り、パネリストとして坂本君、私、岩元さんが登壇いたしました。登壇した塾生三名はまだ入塾してから日が浅いながらも、人間塾での学びや出会いが自らにどのような変化をもたらしたかを振り返り、それぞれの「学び」について語りました。
大学院進学から就職へと進路を変更した坂本君は、その経験から「自らの無知を知り、謙虚になって周囲の声に耳を傾けること」の大切さを述べました。続く私は、他大学への大学院受験という挑戦を通して「直感で新たな世界に飛び込み、その苦しい過程の中で得られるものがある」という学びに対する考えを発表しました。最後に岩元さんは、真の学びに触れていなかった過去を省み、「幅広い視点を持ち、学ぶための土台を固め、常に考え続けること」の重要性を語りました。
発表後には、仲野塾長によるファシリテーションのもと、会場全体でのディスカッションが行われました。会場からは「各パネリストは、人間塾での学びや経験を通してどのように変化したのか」といった質問が寄せられ、登壇者一人ひとりがこれまでの経験をもとに自らの言葉で答えました。ディスカッションでは、仲野塾長によって各パネリストの経験がより深められ、私たちパネリストにとっても自らの学びを見つめ直す貴重な時間となりました。
最後に、塾長が今回のシンポジウムのまとめとしてご講演をしてくださいました。塾長は、学びは学生のためだけのものではなく、生涯を通じて続くものだと述べられました。塾長ご自身もフィリピンのスラムでのボランティア活動の際に格差や不平等を目の当たりにして以来、「どうして生まれてきたのだろう」「人生の意味はなんだろう」という問いについてずっと考えてこられました。人生はこのような「答えのない問い」にあふれており、生涯を通してそれと向き合わなくてはなりません。このような問いに向き合い、考え続ける能力を「ネガティブ・ケイパビリティ」と呼び、この能力を培うことが学びであると、今回のシンポジウムの核心に迫る内容をお話しくださいました。
本シンポジウムは、塾生がこれまで人間塾での学びをもとに、学ぶ目的やその本質について発信することを目指して企画されました。私自身も今回のテーマの核である「ネガティブ・ケイパビリティ」という言葉に出会い、大きな衝撃を受けたことを覚えています。私が今まで触れてきた大学の学問の多くは、明確な答えのある問いに対して、いかに早く正解へたどり着くかが重視され、私自身もその過程に喜びを見出していました。しかし、このような学びの姿勢では人生の中で出合う「答えのない問い」に向き合うことはできません。
このような問いに粘り強く向き合い続ける力、すなわちネガティブ・ケイパビリティが、人生を生きるうえで不可欠なのだと気づき、私の学びの姿勢は変わり始めました。
今回のシンポジウムが参加してくださった皆様にとっても、自らの学びの姿勢を見直すきっかけになれば幸いです。最後に、本シンポジウムの開催にあたりご協力いただいたすべての皆様、そしてご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。





