ヤングセミナー

【レポート】人間塾2025年度 江戸三十三観音巡り(一日目)

2025年5月8日

2025年5月3日から5日まで、「江戸三十三観音巡り」を実施いたしました。例年行っていた小豆島でのお遍路研修とは、また違った趣のある研修となりました。第一日目のレポーターは、第14期生の藤髙滉大です。大学ではバリバリの理系学生ですが、柔軟な心で物事を受け止める塾生です。

是非ご一読ください。

塾長・仲野好重

人間塾 第14期生 藤髙滉大
(中央大学 4年生)

5月3日、人間塾春季合宿の一日目が始まりました。

この合宿で塾生たちは、東京にある三十三箇所の札所を歩いて巡る「江戸三十三観音巡り」を行いました。前日の強い雨などなかったかのような雲一つない青空が広がる中、塾生たちは修行の正装として白い服を身にまとい、観音巡りに臨みました。この巡礼では、各お寺を訪ねて、観音様の前で勤行をし、御朱印をいただきます。

人間塾2025年度ヤングセミナー:白装束で歩きます

白装束で歩きます

先輩塾生の先導のもと、塾生たちは今回の最初に訪れるお寺である真成院にたどり着きました。全員で声を合わせて般若心経をお唱えし、祈願に没頭する塾生の表情が印象的でした。その後お寺の方から、力強くも丁寧に書き上げていただいた御朱印を頂戴し、その筆致に心を打たれました。

私は今回の巡礼で、入院している祖母の健康と日々平穏な生活を送れていることへの感謝を観音様に祈りました。特に最後に訪れた増上寺では、本堂に祀られた阿弥陀如来坐像の前で長く祈りを捧げていると、祖母の顔や、日々の生活の情景が頭の中に思い浮かびました。私は、祖母の健康をひたすらに祈り、同時に目まぐるしく過ぎ去ったこれまでの日々の中で自身が感じた、喜び・後悔・感動などを振り返りながら、今の自分を形作っている一つ一つの出来事に深い感謝を捧げました。すると自然と安心感に包まれ、自分の心が温かな気持ちで満たされるのを感じました。今まで、私は祈りによってこのような感情が湧き上がったことがなかったため、不思議に思うのと同時に、靄が晴れ澄みわたったような感覚になりました。

人間塾2025年度ヤングセミナー:梅窓院にて

梅窓院にて

無事一日目の行程を終えたあと、ホテルにて一日目の巡礼で感じたことを分かち合いました。塾生たちは、参拝したお寺の歴史の深さや、建築美や仏像の精緻な造形を、それぞれ異なる視点から語り合いました。

特に塾生によって感じ方が異なっていたものが、観音様がお顔に浮かべておられる、美しさと曖昧さを持った表情についてです。「アルカイックスマイル」と呼ばれるこの表情を見て、ある塾生はその中に慈悲深さを感じた一方で、少し怒っているように見えたという塾生もいました。

この意見に対し、塾長は「見ている者が心の中で求めているものによって、表情が変わって見えるのではないか」とおっしゃいました。この言葉を受け、私は、観音様が私達に向ける表情とは、私達への思し召しを具現化したものであると同時に、真摯に自分自身の心に向き合うことによって得られる、自己を救い、導くための道筋なのではないかと考えました。

人間塾2025年度ヤングセミナー:手を合わせる塾生

手を合わせる塾生

またある塾生は、上京後、幼少期に慣れ親しんだお寺としばらく疎遠になっていたことを思い返し、巡礼を通して「神や仏がもつ見えないものの力」に再び近づけたと話してくれました。私も増上寺での祈りを通じて、この見えない力による施しを賜ったのだと受け止め、神仏の偉大さを深く感じました。

真剣に祈ることの素晴らしさを考えさせられるとともに、翌日の巡礼でも、新たな気づきが得られるよう真剣に取り組もうと気持ちを新たにすることができた一日目でした。



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