ヤングセミナー
【レポート】人間塾2024年度第12回シンポジウム
2024年10月18日
去る2024年10月5日に、塾生によるシンポジウムを開催いたしました。
このシンポジウムは、今年で第12回目を迎えました。会場には様々な大学に在籍する参加者が来場され、また人間塾の修了生たちも駆けつけてくれました。3人のパネリストの話を皮切りに、シンポジウムは進んでいきました。今年の会場の雰囲気は、大変熱気を帯びており、質疑応答の時間では多くの方々の手が上がりました。各質問に答えるのに、時間が足りないほどでした。
今回のレポーターはシンポジウムリーダーを同期の島田優と共に務めた第12期生の永井真奈です。
是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
第12回人間塾シンポジウムレポート
人間塾第12期生 永井真奈
(国際基督教大学4年)
秋の風が感じられ始めた10月5日、人間塾第12回シンポジウムが開催されました。シンポジウムは、私達塾生が人間塾で学んだことを外部の学生の方々と共有し、人間塾を知ってもらいたいという思いから開催されているものです。12回目となる今回は、「あなただけの人生のストーリーとは?~自己を見つめて考えてみよう~」というテーマのもと、塾生たちの経験を基にしたパネルディスカッションを行いました。
シンポジウムではまず、上記のテーマに関して、3名の塾生による発表から始まりました。それぞれ、パネリストとして自分の人生のストーリーを赤裸々に語りました。両親との過去の確執からの脱却、人生の暗黒期だった浪人時代と現在の自分とのつながり、押し寄せるご縁の波に戸惑い狼狽えた日々。3名のパネリストは、人間塾に入る前の自分自身や、進路に対する葛藤、変化をもたらしたきっかけについて、いい恰好をすることなく素直に語りました。会場の参加者の皆さんも、熱心に聞き入っておられ、メモを取ったり、大きく頷いたりと、それぞれに自分自身のストーリーと重ねる部分があったように見受けられました。
次に、3人のストーリーをもとに仲野塾長をファシリテーターとしたディスカッションが行われました。3人のことを入塾面接から毎月の面談、合宿の様子などを通して見てきた仲野塾長ならではの切り口で、さらに鋭く3名のストーリーを深掘りします。仲野塾長との対話により、少し緊張気味だったパネリストたちも普段の様子を取り戻し、リラックスして過去の自分自身や、これからの展望について話していました。
その後、会場の参加者を交えた質疑応答が行われました。参加者は自分自身の経験と、パネリストたちの発表を重ね合わせ、パネリストたちがどのようにして今の覚悟や心情に至ったのかを問うていました。多くの質問の中で、印象的だったのが「実学」ではない学問に関する問いでした。
「実学」とは一般に社会生活に役立つ学問、または現実に根ざした即戦力のある学問のことを指します。会場からは、「自分が大学で選んだ学問は実学ではなく、自己の興味の追及に過ぎないのではないかと不安である」という意見が出されました。それに対しパネリストの一人は、「実学ばかりでは、人は豊かに生きられない。そのために私たちは心のインフラを整える学問を探求している。自己の探求心を満たすためだけではなく、それを発信してこそ学問の意味がある」と回答していました。大学生活も残りわずかとなった私には、自分にとっての学問の意味を再度問い直されているように感じるやり取りでした。
最後に、仲野塾長よりシンポジウム全体を通じてのまとめのお話をいただきました。仲野塾長は、人生のストーリーの主人公は一人一人、あなた自身であるということを強調されました。「私達はこの世に生まれた以上、自分の人生の脚本家であり、監督であり、演出家であり、照明も衣装も自分でデザインしなければならいのである。そしてその上、あなたは主人公でもあるのです」と参加者に語りかけられました。「自分の人生のスト―リーをつくるには、そのすべてに一生懸命取り組まなくてはならない、ぼんやりと生きている時間はないのだ」とも仰いました。
私は自分の気が引き締まる思いで、仲野塾長の言葉を噛みしめていました。
今回のシンポジウムでは、塾生も参加者も素直な気持ちを共有し、自分の人生に対して真剣に考える機会になったと思います。パネリストたちの自分自身の学びを何かの役に立ててほしいという思い。参加者の皆さんが自分自身と向きあい、頭を悩ませていたことで生まれた熱気。どれもその場にいた方々にとって忘れがたい時間となったと確信しています。
ご尽力下さった皆様、参加者の方々に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。