ヤングセミナー
【レポート】人間塾2024年度 人間塾まとめ合宿 第二日目
2025年3月7日
去る2025年2月23日に、まとめ合宿の第2日目を迎えました。富士山はくっきりと美しく、雄大にして神々しく鎮座していました。そして、私たちの合宿の中日を見守っているかのようでした。この日は、塾生たちには相当厳しく自己との対峙を求めました。
レポーターは第12期生の伊藤壮司です。是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾第12期生 伊藤壮司
(千葉大学3年)
2025年2月23日、不二聖心・黙想の家でのまとめ合宿は2日目を迎えました。雲ひとつない晴天に恵まれ、雪化粧をした富士山がそびえ立つ自然豊かな環境の中で、プログラムは始まりました。
午前中のセッションでは、仲野塾長から「自分とは何者なのか?」という問いが投げかけられました。ここでいう「何者」とは、所属団体や職業といった表面的なものを指しているわけではありません。自分の内面と密接に関わる、深層的な意味を指しています。更に、塾長は問いを考える道筋として、「自分の好きなことや苦手なこと、嫌いなことなどをできるだけ沢山挙げ、ノートにすべて書きなさい。そして、それらをヒントにして考えてみること」というヒントをくださいました。セッションの後には黙想の時間が与えられ、塾生はそれぞれ一人になって、この問いについて考えました。
私は、自分の過去を振り返ることで、問いをひもとこうとしました。自分の内面を顧みながら、今の自分が好きなことや嫌いなことは何かじっくりと考えました。その結果、私は「孤独」が非常に嫌いであり、これを避けることが行動原理の大部分を占めていたことに気づきました。最終的に私は、孤独への恐怖に操られ、自分の意見を言えず他者に迎合している自身の姿を見出すことになりました。
午後のセッションでは、午前の黙想の時間で考えたことをもとにして、塾生が一人ずつ「自分とは何者なのか」について分かち合いを行いました。「素直さに向かって自分と闘う者」「多面性を持つ者」と発表する塾生もおり、この分かち合いを通して自分を含む塾生全員の内面を深く知ることができました。
その後、仲野塾長が「良心とそのコントロール」についてお話をしてくださいました。私たち人間は自我(エゴ)を有しており、これが様々な欲求(エス)をコントロールすることで現実に即して、衝動的に生きることを抑制しています。塾長はこの相互関係を踏まえた上で、自我をも包摂する「超自我(スーパー・エゴ)」という高次的概念を紹介してくださいました。「もっとより良いことをしよう」という理想から生まれる超自我は、私たちに「良心」をもたらします。しかしながら、昨今の社会では、この良心を置き去りにして、利己的な行動を取る人が少なくありません。
仲野塾長は、良心に従った行動を取るかどうかの選択は各人の自由であり、そこには責任が伴うことを明言されました。そして、マリア・フォン・エブナー=エッセンバッハの「汝の意志の主たれ、しかして汝の良心の僕たれ」という言葉を紹介されました。この言葉は、自我で衝動をコントロールすると同時に、自分の良心には忠実に従えということを表しています。良心を自分の意志から超越したものとして捉え、それを抑え込まず、勇気をもって良心に従うことの大切さを学ぶ講義となりました。
夕食後のセッションは、仲野塾長からワークシートをいただき、その記入を通して自己を分析、評価する時間となりました。ワークシートは「人間性」や「塾生としての自らの総合的評価」など計7つの項目に分かれており、塾生はこれらの項目を通して自分を見つめ直しました。セッションを終えてからもほとんどの塾生が講義室に残って考え続けており、徹底的に自己分析を行おうとする熱意が感じられました。
私はこの合宿中、自分にじっくりと向き合う中で、孤独を恐れるあまり他者に迎合する自分の弱さを発見することができました。孤独と向き合うことは非常に苦しく、気を抜くとすぐに逃げ出したいという欲求が沸き起こってきます。しかしながら、この欲求をコントロールしなければ、私は他者に合わせた生き方を選んでしまいます。その結果、自我を確立することはできないと思います。個としての「私」を明確にし、そして自分にしかできない方法で人を思い、愛するためにも、自分の意志の主となって、かつ自分の良心の僕とならなければならないと強く感じる一日となりました。