ヤングセミナー
【レポート】人間塾2024年度 韓国留学便り その2
2024年10月28日
韓国に留学中の中島継人君から、韓国留学便り第2回目が届きました。今回は、留学生の絆を深める「トウミ制度」と、彼が南北境界線を実際に訪れた感想を紹介いたします。
是非ご一読ください。
専務理事・壺井尚子
人間塾 第13期 中島継人
(法政大学 2年)
アンニョンハセヨ。韓国留学便りの10月号です。韓国は10月中旬から朝晩は10度を下回るようになり、季節の移り変わりを感じます。今回の韓国留学便りでは、大学の「トウミ制度」と、南北境界線(DMZ)についてお届けします。
韓国の大学には「トウミ(韓国語で助けという意味)制度」というものがあります。これは韓国人学生1名と留学生3名ほどで班が構成され、語学の学習、生活面で助けになってくれる、日本の大学でのチューター制度にあたるようなものです。私はこのトウミ制度に参加しているのですが、私の班にはベトナム語専攻の韓国人学生、ハンガリー人、タイ人の4名が所属しています。韓国のトウミ制度は毎週末に集まり、韓国についての文化、歴史、言語などのテーマに合わせて、学生が作成したスライドを使いながら、簡単な授業のような形で進められます。日本でチューター制度に参加していた友人からはそのような話を聞いたことがなかったので、ここ韓国で毎週数十ページに及ぶスライドを用意してくれることに感動しました。
また、10月中旬、南北境界線ツアーに申し込み見学してきました。本来は板門店という南北会談の際にも利用される場所へ行きたかったのですが、昨年板門店で勤務していた米兵が北朝鮮側へ亡命したという事件以降、板門店ツアーが中止となっていました。そのため、今回はDMZ(DeMilitarized Zone)と呼ばれる非武装地帯へ行ってきました。
ソウルからバスで1時間半ほどの場所で、一般人の出入りは統制されているためそこに住んでいる人はいません。また、DMZへ入る際には、銃を持った軍人が一人一人のパスポートを確認していました。DMZには資料館もあり、戦争当時に運行していた列車には銃弾痕があったり、捕虜交換の場所となった橋が残っていたり、本当に生々しく感じられました。また、資料館の近くでは北朝鮮の紙幣を売っている場所もあり、中国から韓国へと流れて来るそうです。DMZ内の展望台からは、韓国に一番近いとされている北朝鮮の村や、開城工業地帯など目と鼻の先に北朝鮮が見えました。この場所から北朝鮮側の写真を撮ることは禁止されていて、軍人が常に見張っていました。
休戦中ではありますが、最近韓国と北朝鮮の関係は悪化し続けています。DMZ内では軍の訓練の中で銃声音も聞こえ、戦争を近くに感じました。DMZを訪れる韓国人の多くは、南北統一を願うリボンを展望台近くのいたるところに結んでいました。本当の意味で戦争が終わり、平和な朝鮮半島になってほしいと感じました。