ヤングセミナー
【レポート】人間塾2024年度小豆島・遍路研修(第4日目)
2024年5月10日
去る2024年5月6日は、今年度のお遍路研修の最終日でした。二日目と三日目の行程は相当厳しいものでしたが、4日目は午前中だけの巡拝でした。有難いことに、今年は10名の塾生が昨年から歩き始めた結果、満願となりました。彼らにとって、この経験は人生における宝物になることと思います。先達の森下忠雄様、岡田長栄堂の皆様、そして小豆島で出会ったすべての方々に厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
今回のレポーターは、第13期生の上野城一郎です。
是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
お遍路レポート4日目
13期生 上野城一郎
(国際医療福祉大学3年)
2024年5月6日、遍路研修もついに最終日の4日目となり、いよいよ大詰めを迎えました。3日目までの快晴の空とは打って変わって不穏に広がる曇天が、疲労が頂点に達しようとする塾生たちの心に、一抹の不安をもたらしました。しかし、これまで地道に歩みを重ねてきた自分を振り返り、お遍路研修の成功を願って惜しみなく協力して下さった方々に必ず報いたいという気持ちが、塾生たちの心を大きく奮い立たせました。毎朝行っている「岡田長栄堂・大師の宿」の皆さんに対するお礼勤行にもより一層熱が入りました。
お迎えに来て下さったバスに乗り込み、参拝するお寺に向かう途中では、3日間お世話になった土庄町の様子や、実際に歩んできた小豆島の自然の風景を至る所に見ることができました。お遍路研修を通して自分と向き合ってきた時間に思いを馳せ、それを踏まえて今日の自分に何を問うべきかを考えました。
残すお寺の数は6つとなり、第43番の浄土寺から始めて、第46番の多聞寺で打ち止めとなります。私が最も印象に残ったのは、第44番の湯舟山へ続く森の参道から臨む千枚田の風景でした。これは「日本の棚田百選」にも選ばれており、約800枚という大小の田んぼが織りなす千枚田の美しさに心が洗われ、元気づけられました。
その後もお互いに助け合いながら、一歩一歩確かな足取りで順調に参道を進んで行きました。そこでは、他の塾生と語り合って新たな考えを得た者、1人で歩くことで内省を深める者など、塾生それぞれが真剣な心持ちでお遍路に向き合っていました。私は、3日目の夜に仲野塾長が塾生の前でお話になった、「美しい心を持って、感謝の気持ちを忘れてはいけない」という言葉に、考えを巡らせていました。
この小豆島でのお遍路研修では、澄み渡る空や雄大な海、そして厳かにそびえる山々などのたくさんの美しい自然に出合うことが出来ました。また、島民の皆様には本当に多くの温かいお心遣いをいただきました。その一つ一つが頼もしい支えとなり、私が歩み続けるための原動力となりました。
これからも、豊かな自然や周りの人々のご厚意といった美しい恵みの中に私は生きているということに感謝の気持ちを忘れずに、これからの人生を歩んで行こうと胸に誓って、第46番多聞寺の門を叩きました。御本尊である阿弥陀如来様に向かって、塾生全員が力強く最後の勤行を行い、打ち止めとなりました。
無事にお遍路研修を終えることができた喜びを塾生みんなで分かち合いながら宿に戻ると、「精進上げ」というお遍路を終了したことを祝うためのお料理を用意して、宿の方々が待ってくださっていました。小豆島の名産品に舌鼓を打ちながら楽しく食卓を囲み、各々がお遍路研修で得た学びを共有し合いました。
今回のお遍路研修では10人の塾生が、2年をかけて全てのお寺を巡拝し、満願を達成することができました。その記念として、仲野塾長から一人一人の塾生に合わせた金剛杖袋が贈呈され、満願の喜びを改めて噛みしめることができました。
このように全員揃って怪我なくお遍路研修を終えることができたのは、先達の森下さんをはじめ、私たち人間塾の塾生に関わって下さった方々の思いやりのある応援によるものです。このお遍路研修を通じて受け取ったたくさんの御恩を忘れずに、今度は多くの人に恩を送ることができる人間になるために、日々精進して参ります。