ヤングセミナー
【レポート】人間塾2024年度 人間塾秋季合宿 第二日目
2024年10月4日
2024年9月22日は、秋季合宿の第2日目でした。合宿の雰囲気にも慣れてきた塾生たちは、しっかりとテーマに向き合っていたと思います。午後は昼食を含めて4時間ほど自由時間をはさみました。皆、リフレッシュして、夕方からのセッションに臨みました。
今回のレポーターは第13期生の上野城一郎です。
是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾 第13期生 上野城一郎
(国際医療福祉大学3年)
去る9月22日、湘南国際村センターでの秋季合宿は2日目を迎えました。十分に朝食をいただいた後、研修室に集まり始めた塾生の顔には、これから投げかけられる問いに熱く向き合わんとする決意が表れていました。
午前のセッションでは、「ご縁」について、グループに分かれて話し合いました。議論の締めくくりとして、「ご縁とは、自分で求めるものではなく、『偶然』を装って現れるもの。一方で、その訪れがいつしか『必然』に思われ、最後にはそれが『当然』のことだったように感じられるもの」ということを塾長に教えていただきました。 私は、塾長がこの言葉を言われたとき、ある先輩塾生が議論の中で話したエピソードが頭の中に浮かびました。
医師を志すその塾生は、塾長を通じて、素晴らしい心臓外科の先生に出会いました。そして、その先生とのご縁がきっかけとなり、心臓外科医として社会に貢献したいと考えるようになりました。その塾生は、このご縁は、自分が求めた結果ではなく、たくさんの人との出会いを通じて自分のやるべきことに力を注ぎ続けた結果、現れたことだと述べていました。その中で、自らの一つ一つの経験を振り返った際に、自然とそれらが繋がりを持ち始め、心臓外科の道へと自らを導く「必然的な流れ」があるように思い始めたと述べていました。
私は、ご縁とは、「自らの意志で掴もうとするもの」だと考えていました。しかし、ご縁とは、私たちの意志に関わらず訪れるものです。したがって、本当に大事なことは、自分に訪れる一つ一つのご縁を受け止め、それらを繋いでいくことで生まれる「意味」を考えることではないかと思いました。塾長や先輩塾生の話を聞いて私は、自分がご縁の中に生きていることを忘れずに日々を過ごし、他者にもご縁を繋いでいくことのできる人間になりたいと気持ちを新たにしました。
午後のセッションでは、使命についてのお話から始まりました。塾長はテーマとして、「喜んで損をする」ということを挙げられ、それについて塾生たちで語り合いました。この言葉は、前向きなイメージを含む「喜んで」という言葉と、それとは反対にネガティブな印象を抱かせる「損をする」という言葉とが組み合わされ、全体としてちぐはぐな印象を持ちます。しかしながら実際は、助けを求める他者を前にして損得を一切考えず、居ても立っても居られなくなって行動することを指す言葉です。私はこの言葉を初めて聞いたとき、言葉の表面的な意味に囚われ、これが真に意味するところに思いを馳せることができませんでした。
私たちは、周りの人々からたくさん助けられて生きています。しかし、それを知りながらも、いざ自分が誰かから助けを求められたとき、自分の立場や時間を優先してしまうことがあります。他方で、自分が何かを失うかもしれないことなど気にも留めずに、誰かのために行動を起こすときもあります。私は、常に後者であり続けたいと考えています。「喜んで損をする」という言葉は、自分を後回しにしてでも、他者のために尽くすという生き方を私たちに教えてくれます。私は、そのような他者を思いやる気持ちに溢れた人間になるために、この言葉を常に胸に刻んでおきたいと強く思いました 。
2日目最後のセッションでは、塾生たちがこれからの下半期をどのように過ごしていくかを考える上で、「自分が何に執着しているか」について、互いに分かち合いました。私が強く執着していることは、「医師になること」です。これは、医学に向き合う「意欲の源」になると同時に、私の「視野を狭める原因」にもなり得ると感じています。そのことを分かち合った際に、塾長から、良い医師になるためには高い教養を備えていなければいけないというアドバイスをいただきました。
そのお話を聞いて私は、子どもの頃によくお世話になった町医者の先生を思い出しました。技術はもとより、患者の話に耳を傾け、寄り添ってくださる方でした。その先生は、診察時に、私の学校生活などの話を聞いてくださる方で、私は親近感を持って診察を受けたことを今でも覚えています。このセッションを通して私は、教養を身につけることは、様々な背景を持つ患者さんを理解する手助けになり、それが医師と患者の信頼関係に繋がるのだと気づきました。自らの執着に囚われず、医師である前に、一人の人間としての自分を磨かなければならないと決意するセッションとなりました。
私にとって、秋季合宿二日目は、様々な問いについて考える一日となりました。どの問いも、これから自分ならではの人生を歩んでいくための道標になると感じています。今日考えたことや、分かち合ったことをさらに深め、自分の答えを模索していきたいと思います。