ヤングセミナー
【レポート】人間塾2023年度第19回ヤングセミナー
2024年2月13日
2024年1月年明け最初のセミナーを、1月11日に開催いたしました。
今回は冬休みの課題図書として全員が『星の王子様』を読んでからセミナーに臨みました。各塾生にとって印象に残ったシーンはそれぞれでしたが、やはり「大切なものは目には見えない、心の目で見なくてはならない」という有名な言葉には、全員が心を動かされたようでした。
本屋へ行くとこの本は、子どもの童話コーナーに並んでいることが多いですが、実は大人のために書かれた名著だと思います。
今回のレポーターは第12期生の島田優です。是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾 第12期生 島田優
(中央大学3年)
去る1月11日、第19回ヤングセミナーが行われました。今回のセミナーは、2024年になってから初めてのヤングセミナーでした。冬休みの課題図書であるサン=デグジュペリ作『星の王子さま』を読み、各々が感じたことについて話し合う読書会の形で、セミナーが行われました。『星の王子さま』とは、サハラ砂漠に不時着し孤独であった飛行士と、純粋な王子さまとのふれあいを描いた物語です。
今回のセミナーは、この日に向けて『星の王子さま』を読み込んできた塾生に対する塾長からの質問で始まりました。まずは、「本を読んでの印象について」という質問でした。以前この本を読んだことがあり、今回再び読んだ塾生からは「小さい頃はわからなかったが、今回読んでみて初めてわかることがあった」「一歩引いて読んでみて、教示的側面があることを発見した」などの感想が出てきました。私自身は、今回初めて『星の王子さま』を読みました。最初に読んだときは、その字面しか見ていませんでしたが、多くの気づきや胸に残る言葉がありました。また何度か読み返すうちに、字面だけではなく、いくつかの言葉が将来起こる出来事を暗示していることなど、新たな気づきがありました。
その後、塾長から「印象に残った場面はどこか」と尋ねられました。私にとって『星の王子さま』の中には多くの印象的な場面がありました。その中でも最も印象的だった場面は、キツネが王子さまに対し、「心で見なくちゃ、ものごとは良く見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」と言った場面です。星の王子さまが住む小さな惑星では、一輪のバラが咲いています。このバラはわがままでしたが、王子さまは大切に育てていました。ある日、地球に来た王子さまは、数えきれないほど咲いているバラと出会い、落胆しました。なぜなら、自分が育ててきたバラはこの世に一本しかなくとても珍しいものだと思っていたのに、実は普通のありふれた花であることを知ったからです。
しかし、その後出会ったキツネと「仲良くなること」について会話をする中で、王子さまは、自分の星にあるバラが唯一無二の存在であることに気づかされました。そして、それに気づいた後に、キツネからかけられたのが先程の言葉です。この場面が印象に残った理由は、最近、私が「人との繋がり」という「目に見えないもの」の大切さに改めて気づいたからです。
元々明るい性格だった私ですが、大学に入学してからどこか塞ぎこむようになってしまいました。そして暗い性格になってしまった原因の一つが、人との繋がりが途切れてしまったことにあると気づきました。大学に入ってからは人と話さず、一人で何事もある程度できると思い込んでいました。しかし、明るかったころの自分を思い返してみると、決してそうではありませんでした。私の話し相手になってくれた友達や、陰ながら応援してくれていた人など、様々な人に囲まれて、そして支えられて生きていました。そのような「人との繋がり」が私を形作っていたのです。
私にとって、「目に見えない大切なもの」は「人との繋がり」でしたが、王子さまにとっての「目に見えない大切なもの」は、バラに対する「愛」でした。その「愛」について、塾長から「本当の愛」とは、「無条件」なものであり、それには「意志」と「努力」が必要であるとお話しいただきました。そして「〇〇ができたら、あなたのことを愛してあげる」といった「条件付き愛」は本当の愛ではないとも仰いました。それは愛するということに、条件は必要ないからです。愛は無条件のものです。そして、その愛は受けっぱなしで終わってしまってはいけません。また互いに愛を送り合いするだけでもいけないのです。なぜならば、それでは自分と相手という狭い二者関係で終わってしまうからです。自分の強い意志と、無条件の愛への努力を元に、自分が受けた愛を多くの他者に手渡していくことで世界が広がっていくと学びました。
今回のセミナーでは、全員が『星の王子さま』という共通の本を読み、その本について議論しました。読書といえば一人で行うものであるという考えがありましたが、他者と意見を交わし、他者の意見を聞くことによって、自分一人では得られなかった視点や考えを得ることができました。次回『星の王子さま』を読んだ時に私は何を思うのか、非常に楽しみでなりません。そして「大切なものは目に見えず、心で見なくてはいけない」という言葉を大切に生活していこうと感じたセミナーでした。