ヤングセミナー
【レポート】人間塾2023年度第18回ヤングセミナー
2023年12月28日
去る2023年12月21日は、年内最後のヤングセミナーでした。
アメリカのスタンバーグという心理学者が40年前に提唱した、知能の三頭政治理論を紹介しました。偏差値や学力だけを身につけても、本来の人間の知能は育たない。経験を重ね、人との関係性の中で物事を考え、判断し、行動することが本来の人間の知能である、という考え方です。
またセミナーの後半では、クリスマスにちなんで、プレゼントの意味を論じました。
今回のレポータは第12期生の村田裕真です。どうぞご一読ください。
どうぞ良い新年をお迎えください。
塾長・仲野好重
人間塾 第12期生 村田裕真
(慶應義塾大学3年)
2023年12月21日に第18回ヤングセミナーが開催されました。今回は年内最後のセミナーでした。
塾長はまず、「頭・心・体を使いましょう」ということを仰いました。塾長が米国での留学生だった頃、社会心理学の教授から受けた授業の話をされました。人間の知能について、「三頭政治的理論」を紹介されました。つまり、知能には、三つの側面があり、それらがバランスよく育っていくことが重要だというのです。その三つの側面とは、1)学習などを通じて身につける分析的能力、2)経験を通じて身につける智慧すなわち経験的・創造的能力、そして3)文脈や関係性から精神的側面を深めていく情操的能力です。
どれかが欠けていても知能の全体的発達は達成されないので、これら三つの全てを育てていく必要があります。そしてそれらが人間性の発達に大きく関係しているという話でした。
今まで私は、一つ目の側面に重きをおいて行動してきました。二つ目と三つ目の側面は、十分に意識して育ててきたわけではありません。「百聞は一見に如かず」「机上の空論」ということわざがあるように、私たちは自ら実践することをしなければ、遭遇することがらが自分の内側でのみ完結してしまうことになります。そして、そこから更に発展することはめったにありません。
さらにその実践や経験に伴って、心揺さぶられる体験が必要です。感受性が豊かになることでより多くのことを感じ、そこから更に別のものへと昇華させることができるのだと思います。以上のお話から、頭だけでなく、心と体を使って人間的に深みを持てるよう行動して行けるように心掛けていきたいと思いました。
さらに塾長は、クリスマスを直前に控えているということで、「クリスマス」という言葉をキーワードにお話を続けられました。クリスマス・プレゼントとは、相手を大切に想い、感謝している証であると塾長は仰いました。イエスは神から人間に向けられたクリスマス・プレゼントであり、東方の三賢者がイエスに捧げたものがクリスマス・プレゼントの始まりでした。
その後、塾長は、「分かち合い」というキーワードを挙げられました。「分かち合う」とは、自分以外の他者と自らが持つ「もの」を共有するということであり、差し出すことでもあります。つまり、分かち合うことをしないことは、資源(もの)を独り占めするということになります。塾長はそのような分かち合うことをしない人が多い、昨今の世知辛い世の中を嘆いておられました。
一人が持つことができる資源(もの)は限られています。これが知識であっても、情報であっても同じことです。人間一人が持てるものなど、小さなものなのです。よって、分かち合うことが苦でなくなれば、同じように分かち合うことができる人が集まり、その集団は豊かになっていくと塾長は仰います。
他者の存在なしで生きることができないということを認識し、自分の考えに拘泥せず、自分の目に入っていないものを教えてもらうことで視野が広がり、その集団における人間性が互いに豊かになっていくということだと私は捉えました。これらのことを踏まえると、その場の損得勘定に捉われることの愚かさが理解できます。
このように相手を大切に想い、分かち合うことができる人が増えていけば、社会全体が質的に豊かになっていくことは間違いないと思います。まずは私が、その精神を自らの心に宿し、そのように実践していくことが必要であると痛感しました。友愛の精神の本質がここにあるのではないでしょうか。
年の瀬を迎え、2023年も残すところ僅かとなりました。来年初めての人間塾イベントは、人間塾カレッジ(1月6日、7日)になります。人間塾カレッジとは、塾生が一人ひとり、自ら決めたテーマを基に45分の授業を、全塾生の前で行うものです。新年早々良いスタートがきれるよう、人間塾カレッジの準備を少しずつ進めてまいります。
皆様、よい新年をお迎えください。