ヤングセミナー

【レポート】人間塾2023年度第10回ヤングセミナー

2023年9月15日

夏休みを終えて、2023年8月31日からヤングセミナーを再開いたしました。塾生一同日に焼けた顔つきで元気に全員集合いたしました。

今回のレポーターは第11期生の橋沼黎です。
是非ご一読下さい。

塾長・仲野好重

人間塾 第11期生 橋沼黎
(東京音楽大学4年)

去る8月31日、第10回ヤングセミナーが行われました。今回は、人間塾の夏休み明け最初のセミナーでした。この夏、塾生には仲野塾長から課題図書が出されました。一人ひとりに対し、異なる本を選んでいただいたため、セミナー前には、自分の読んだ課題図書について塾生同士が意見交換をしていました。そのような中でヤングセミナーは始まりました。

人間塾2023年度ヤングセミナー:夏の思い出を語り合う

夏の思い出を語り合う

この日は、8月31日だったため、翌日の9月1日は、関東大震災の発生から100年目の日にあたります。したがって今回は、地震についてのお話から始まりました。関東大震災発生から100年の月日が経ったため、現在、震災当時の様子を実体験した方は殆ど残っていません。よって、様々な記録をもとに、当時の様子を理解する人の方がはるかに多くなりました。よって、今回のセミナーでは、「経験していないことであっても語り継いでいく」ことの大切さを考えました。

まず、震災の経験のある人と無い人では、その震災に対して語る熱意というものの差は大きいと思います。経験のある人は、身をもって体験していることから、まるで先日起きたことかのようにそれらを語ることができます。そして、経験のない人は、聞いたことをしゃべるだけになってしまいます。仲野塾長はこれに加えて、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ということわざを言われました。頭では分かっていても、身をもって経験していないと、いつか忘れてしまいます。人間はそのような「忘れる生き物」であるということを、しっかりと受け止めることが大切だと感じました。

そこで必要なのが「想像力」です。これは、震災に限らず、戦争に関しても同じことが言えます。日本は、80年間もの間、戦争を経験していないため、実際の戦争体験を語る人は少なくなりました。しかし、その趨勢に乗って、「戦争を経験した人だけが、戦争の恐ろしさを語る世の中になったら、その国は崩壊する」と仲野塾長は仰いました。だからこそ、戦争を経験していない人の想像力が大切なのです。戦争を経験したことの無い私は、理屈で考えただけで、「戦争反対」と言っているのかもしれません。しかし、それが分かっていても、その上で想像力を働かせ、戦争に巻き込まれている人々に思いを寄せて行動することが必要だと感じました。

人間は、自分に都合の良いように物事を受け取る性質があります。上述のように「忘れる」あるいは「理屈で考える」という行為がその一例です。ここから、セミナーは「命の価値の差」についてのお話になりました。

先日、ウクライナでミサイルの破片により2名が亡くなったというニュースが報道されました。しかし、私はもし1万人がその時亡くなっていたら、と想像すると、「2人でよかった…」と自然に思ってしまう傾向があります。そこには、2人でよかった、と思えるような「命の価値の差」が、果たしてあるのかどうかを考えざるを得ません。

私は、そのような価値の差を作り安心したい心情には、自分にとって都合の良いように物事を受け取りたいからではないか、と思い当たりました。しかし、もし仮にそれを人間の「悪」の心と捉えるならば、その「悪」の心に抗いたいと思う「善」なる心もあると思います。そこで再び、「想像力」が大切だと感じました。その亡くなった2人にはどのような家庭があったのか。どのような人生を生き、どのような夢があったのかなど・・・、それが仮に知る由もないことだとしても想像力を働かせるという行為自体が大切だと学びました。そのような想像力の先に、自分が次にしなければならない行動が見えてくると思います。

人間塾2023年度ヤングセミナー:夏のいただきもの

夏のいただきもの

セミナーの最後に、塾生一人ひとりが自分の夏休みの経験を共有し、この日は終了しました。私は、皆の夏休みの話を聞き楽しむ気持ちもある反面、皆が自由に思い出を語ることのできるこの環境に、どこか少しだけ「申し訳なさ」を感じました。それは、自分の居る場所が恵まれた環境であることを実感したからだと思います。まずは自分が置かれた環境に感謝をし、今の自分からできることをしていこう、と前向きな気持ちになることのできるセミナーでした。



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