ヤングセミナー
【レポート】人間塾2023年度第4回ヤングセミナー
2023年6月6日
去る2023年5月25日に、第4回目のヤングセミナーを開催しました。
この日は、3期生の修了生2名が駆けつけてくれ、久しぶりの再会となりました。どこに在っても、真摯に生きることを心がけている彼らを見て、人間塾でぶつかり合った日々を思い出しました。この先輩たちの存在は、在塾生にとっても大きな刺激になっているようです。
今回のレポーターは第12期生の畠山健です。
是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾 第12期生 畠山健
(東京工業大学3年)
5月25日に第4回ヤングセミナーが行われました。今回は3期生の先輩二名が来てくださいました。現在に至るまでの経緯や、学生時代のお話などを、笑顔で話してくださいました。人間塾を離れて8年~9年が過ぎる中で、紆余曲折を経ながらもたくましく生きる先輩方の姿は、とても輝いて見えました。
セミナーのはじめに、仲野塾長は「人間の深さ」についてお話ししてくださいました。人間として深くなるためには、「見聞きした知識からそれを実践し、視野を広げ、経験を自身の血肉にするのが重要だ」と仰いました。特に、学んだことを使わずに放っておくこと、そしてやがて忘れてしまうことは、私たち若者が陥りやすい「罠」だと教えてくださいました。「学び知っただけだと浅いままで終わる。そこから深く探求し、様々なことがらにつないでいく努力が必要」という仲野塾長のこの言葉は、学びの場を受動的に享受するだけだった自分の姿勢を見直すきっかけになりました。
続いて仲野塾長は、自身の過去の体験についてお話ししてくださいました。バーテンダー学校でのお話、ユダヤ人の学友のお話、リトアニアの元領事館を見学したお話などでした。これらの一見ばらばらな事象を、仲野塾長は「第二次世界大戦中、リトアニアの日本領事代理だった杉原千畝がユダヤ人難民にビザを発行したという史実、その時代背景、ビザ発行に至るまでの苦悩」といったお話に繋げて語ってくださいました。塾長はただ体験したことを語るだけでなく、体験から疑問に思ったこと、その疑問について調べて分かったこと、そこから繋がるお話、全てを密接に関係させて語ってくださり、私はその知識量と物語性に驚きました。得てきた人生体験同士を結び付けることで、その語り方に幅や深さが生まれるのだと感じました。
次にお話ししていただいたのは、「稽古」についてです。基本の型を身につけ、それから離れて自分なりの技を磨き、そうして得た一定の型をまた壊して再構築していくという繰り返しこそが「稽古」であると仲野塾長は仰います。塾生から「なぜ型を離れる必要があるのか」と問われると、仲野塾長は「いま持っているもので満足しないため」と返答され、できると思ったものを「手放す」ことが必要だと仰いました。
これに関連して修了生の先輩もお話ししてくださいました。「8年間働いた職場でできると思ったことに危機感を覚えた。新しい職場では苦労もあるが、自分には生き方の型がある」これを聞いて、経験を糧としながらも現状に満足しない姿勢に感動しました。今の私は、与えられたもので満足していて熱意の少ない、「文句を言わない利口な子」という型に収まっているのではないか、と思いました。
仲野塾長はセミナーの最後に、自身の恩師の話も交えながら、「なぜ生きるのか、その答えを求めるためにどう生きるべきなのか、これを考えながら日々を生きなさい」と仰いました。私はいま生きる意味を考えることができているのか、情報や時間に流されて、上辺だけで満足する人間になっていないか。今回のセミナーでは、こういった視点から自分を振り返ることができました。この考え方は、人間塾で学ぶ上でとても大切な基本の型なのではないかと感じました。この基本の型をまずは習熟させて、何度も再構築を重ねて、この先の人生においても、より深い存在として自分を成長させていけるよう、精一杯励んでいきます。