ヤングセミナー
【レポート】人間塾2023年度軽井沢合宿二日目
2023年9月30日
2023年9月17日は、軽井沢合宿の第二日目でした。
塾生たちの思考も少しずつ深まってきます。また、「このままでいいのか」という気持ちが膨らんできます。塾生同士が自分の経験を互いに分かち合い、励まし合う姿が随所に見られるようになってきました。
今回のレポーターは第12期生の畠山健です。
是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾 第12期生 畠山健
(東京工業大学3年)
9月17日、晴れ模様の清々しい朝を迎え、軽井沢合宿の二日目が始まりました。午前中は、一日目の振り返りを行った後、「自分の言葉を持つこと」という内容のセッションを行いました。そして、その後の午後の学びは、私に大きな影響を与えるものとなりました。
午後のはじめのセッションでは、「好きなこと」「やりたいこと」「やらなければならないと思っていること」「自分には決してできないこと」について塾生一人一人が考え、それぞれの意見を発表しました。その後数人ずつに分かれて、「やりたいこと」「やらなければならないと思っていること」について互いに質問し、深く掘り下げるグループワークを行いました。
私はやりたいこととして「エネルギー開発をすること」を挙げ、やらなければならないこととして「地球を大切にすること」を挙げました。しかし、塾生と「やらなければならないと思い至ったきっかけはなんだったのか」「それは心からやりたいことなのか」というやり取りを重ねていると、掲げていた目標が揺らいでいくような感覚がありました。そして「エネルギー開発をしたい」という想いは、過去の学校生活の中で、進路を決めていく友人たちの姿に焦り、自分の気持ちに向き合わないまま用意したものであったことに気づきました。
正直なところ、以前までの私にはこの自覚は無く、エネルギー開発に携わることが私の進路だと信じて疑うことはありませんでした。しかし、エネルギーの分野に対してロマンや思い入れを多少は感じているものの、心の奥底からの欲求ではないことに気づきました。一方で「地球を大切にしたい」という想いは、幼少期から確かに私の胸中にあったものであり、今一度この純粋な気持ちに立ち戻ることで、私がやりたかったことは環境問題に携わることだったのではないか、という考えに至りました。「具体的な進路を持った優等生であること」に囚われていた私は、自分の本当の想いから目を逸らしてきました。塾生とのやり取りを通してその事実を認め、向き合うことができて、非常に実りのある時間でした。
夜のセッションでは、塾長は「使命」についてのお話がありました。使命に向かって歩んでいくのではなく、ひとつの道を一歩一歩懸命に進んでいく中で「使命の方からこちらに向かってくる」のであると、塾長は仰いました。自分がやらなければいけないと思うことについて、今すぐにできなかったり、上手くいかなかったりして悩むこともあるかもしれません。しかし、人間塾の修了生たちはそういった経験を乗り越えてきたそうです。「『進む先に使命がある』という生き方は困難かもしれないが、それを歩んでいく原動力が情熱である」と、塾長は語ってくださいました。
先輩塾生の中には、自分の行く方向性を定め、使命と呼べるものに出合えた人たちがいます。この合宿で先輩方と対話する過程で、現在の道に至るまでの悩み、迷い、葛藤の一端に触れることができました。どの先輩も、信じて進んできた道の過程で一度は壁にぶつかっていました。私はまだ、壁にぶつかったと言えるだけの困難に遭遇していません。それはきっと私が、過去の自分が敷いたレールの上をなんとなく歩んできたためです。自分の心に向き合って情熱を持たなければ、困難の無い方向へと流れてしまうと思います。今この瞬間の私の意志と決定が、この先の自分を形作っていくのだという自覚が必要です。このセッションを終えて、自分の進む道に情熱と責任を持って歩んでいこうと、心に刻みました。
二日目の合宿を通して、自分の内面を知り、進む方向を見定めることができました。特に自分のやりたいこと、やらなければならないことに関して、内面に向き合わないままでは、いつか心と言動との間に齟齬が生じて挫折していただろうと思います。塾長、塾生とのやり取りを通して得られたこの気づきは、一人では成し得ないものでした。塾長や塾生に対する感謝を、改めて強く抱いた一日でした。