ヤングセミナー
【レポート】人間塾2023年度小豆島・遍路研修(第5日目)
2023年5月11日
2023年5月7日は、お遍路研修の最終日でした。この日は、昨夜から降り始めた雨が止むことはなく、むしろ時間が経つにつれて激しく降ってきました。
塾生たちは、初めてのお遍路で、しかも最終日に雨に打たれてずぶ濡れになりながら、宿泊施設に戻ってきました。しかし、顔つきは不思議と爽やかでした。歩き遍路に挑戦した若者たちにとって、今回の歩き遍路の経験が意味あることとして心の中に残ることを願います。
最終日のレポーターは、第12期生の島田優です。
是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾 第12期生 島田優
(中央大学3年)
5月7日、歩き遍路4日目。お遍路研修もとうとう最終日を迎えてしまいました。朝からあいにくの雨でした。3日間のお遍路を通して、精神的にも肉体的にも疲労が蓄積している中、自然から私たちへの最後の試練だと思い、塾生全員で歩み始めました。
前日、私たちは評議員の鈴木さんから、「苦手な人と話をしてみよう」というご提案を頂きました。それを受けて私は、遍路道を歩く中で、これまで少し苦手意識を持っていた塾生に思い切って話しかけてみました。勝手に苦手意識を持っていた私ですが、いざその塾生と話してみると、私のその塾生に対する印象は大きく変わりました。勝手な先入観で相手を判断せず、相手と対話してお互いを知ることがいかに大切であるのかを痛感した瞬間でした。
そのような気付きを得ながら、お遍路の行程も残すところ後わずかとなりました。最終日である今日のお遍路は、雨風にさらされていたということもあり、明らかにこれまでの3日間とは異なる厳しさがありました。しかし、塾生はみな終始、ともに助け合いながら、明るく元気に歩き切りました。そして最後は、清々しい気持ちで長栄堂に戻ってくることができました。
長栄堂では、これまで私たちを安全に導いてくださった先達の森下さんと一緒に、お遍路最後の食事となる「精進上げ」のお料理を頂きました。その場では、先輩や修了生と話して何かに気づき、悩み、考えている塾生、またお遍路を通して、考えや心境に変化があった塾生など、様々な姿がありました。
私は、このお遍路研修を通して「人の温かさ」やそれに「感謝すること」の大切さを学びました。それを最も強く実感したのが、お接待をしていただいた時です。今回のお遍路では、道中の様々な札所で、果物やお茶などを頂く機会がありました。普段、私たちが何気なく、当たり前のものとして口にしている果物やお茶ですが、疲労が蓄積した最中に頂くお接待では、一粒の果物や一滴のお茶が、活力として全身に染みわたりました。これほどまでに、食事のありがたさを感じたことはありませんでした。そしてこのようなお接待をしてくださる方々と出会うことで、私の中で忘れていた人間的な温かさを再認識する機会となりました。
また、お接待をしていただいた時だけでなく、お遍路の道中で「頑張ってね」と声をかけていただいた時や、長栄堂でおいしい食事を用意していただいたときなど、様々な場面で、私たちを支えてくださる方々の温かさが身に沁みました。それと同時にこれまでの人生を支えてくださった方々への感謝の気持ちも改めて実感しました。
普段都会にいると、この感謝の気持ちやありがたさを忘れてしまうことがあります。実際、私自身忘れかけている部分がありました。しかしこのような経験をしたからこそ、普段のどんなに些細なことにでも、感謝する気持ちを忘れずに生きていこうと強く思いました。
今回のお遍路研修では、修了生や塾生と話し、そのうえで自分と向き合うことで、多くの気づきがありました。しかし、気づいて終わりではありません。今回の研修で得た学びや考え方、そして感謝の気持ちを忘れず、それを自身の行動に反映させていくことが大切です。今回の経験を無駄にすることなく、自身の成長に繋げていきたいと思っています。