ヤングセミナー
【レポート】人間塾2022年度第20回ヤングセミナー
2023年1月30日
2023年になって初のセミナーを1月12日開催しました。久しぶりに再会した塾生たちは皆元気そうで、寒さなど寄せつけないような若さにあふれていました。
この一年間も、この塾生たちの健康、成長、未来への一歩が守られ、豊かであることを祈ります。
今回のレポーターは第10期生の髙瀨玲也です。
是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾 第10期生 髙瀨玲也
(東京学芸大学3年)
新たな年を迎えた1月12日、2023年になって初めてのヤングセミナーが行われました。新年の挨拶を交わし、国家試験や卒業制作・卒業論文の提出などを控える塾生の近況についても話がはずみました。新年にふさわしい和やかな雰囲気に包まれた中、セミナーが始まりました。
今回のセミナーでは、塾長が2つの言葉を紹介してくださいました。
1つ目の言葉は、「制限の中において初めて名人はその腕を示す」です。これは、ドイツの詩人ゲーテによる言葉です。私たちは、例えば身近なところでは門限や終電、コロナ禍になってからは外出制限や入国制限など、日頃から大小様々な「制限」を受けています。ゲーテによれば、そのような「制限」の中において初めて、優秀な人物はその能力を発揮するというのです。
塾長は、この言葉を雑誌『致知』にて紹介した、映画字幕翻訳家の戸田奈津子氏の場合を例に、解説をしてくださいました。映画の字幕制作においては、一度に画面に表示できる文字数が限られている、すなわち「制限」があります。彼女は、そのような「制限」の中で、映画字幕翻訳家としての自らの能力を発揮し、映像の内容を的確に表現できる適切な言葉を選び取っているのです。
確かに、何も制限されていない状況であれば、私たちは好きなように物事を進めることができます。しかし、様々な制限がある中であっても、目的や目標を達成・実現するために自らの能力を発揮することが大切です。このような現実を想定する中で、実力の素地となる知識や人間性を身に付けていくことが重要なのだと実感しました。
2つ目の言葉は、「言葉の貯金」という、先に述べた戸田奈津子氏本人による言葉です。戸田氏の字幕制作を支えているのは、彼女が持つ豊かな語彙です。そもそも語彙力がなければ、映画の多様なシーンに見合ったふさわしい言葉を取捨選択することはできません。彼女はそのような語彙の大切さを、「言葉の貯金」という言葉で表現したのです。
私自身、本を読んだり人と話したりする中で、日々新しい言葉と出合っています。そして、新しく自分の中に取り入れたその言葉を実際に使っていくことで、自らの語彙を増やし、確かなものにしていきます。人との繋がりにおいて、コミュニケーションの基礎となる言葉、すなわち語彙力は必要不可欠です。私も日頃から、この「言葉の貯金」を大切にしていきたいと感じました。
現代を生きる私たちは、日頃から多くの「制限」を受けています。しかし同時に、そのような不自由な世界の中で、自らの能力や可能性を発揮していくことが求められています。
私も、自らの能力や可能性を発揮して人々の役に立つことを志し、今後も人間塾で努力を積み重ねていきたいと強く思います。新年にふさわしい、気の引き締まるセミナーとなりました。