ヤングセミナー

【レポート】人間塾2022年度第12回ヤングセミナー

2022年9月23日

9月15日に開催したヤングセミナーでは、最近よく話題になる宗教について、正面から取り上げてみました。
ただ恐れたり避けたりするのではなく、宗教という存在がどのように人間とかかわってきたのかを、正しく見ることが必要だと思い、哲学的な話をしました。

今回のレポーターは第9期生の吉田光志です。
是非ご一読ください。

塾長・仲野好重

人間塾 第9期生 吉田光志
(早稲田大学4年)

去る9月15日、第12回ヤングセミナーが行われました。

今回のセミナーでは、安倍元首相の銃撃事件以降、連日取り沙汰されている「宗教」についてのお話から始まりました。

まず、宗教は大きく2つに分類されるそうです。1つは「自然宗教」です。これは、地域や家庭で代々大切にされ伝わってきた、宗教的な心を伴った慣習のようなものです。地域のお祭りやお墓参りなどがこれにあたります。もう1つは、「創唱宗教」です。これは教祖・教団が存在するプロフェッショナルな指導者がいる宗教のことで、キリスト教や仏教などの伝統的なものや歴史の浅い新興宗教などもこれに含まれます。

人間塾2022年度ヤングセミナー:先輩後輩仲良く

先輩後輩仲良く

私も含め多くの日本人は、自分は無宗教であると思っているのではないでしょうか。しかし、正月には初詣に行き、お葬式の場面では故人の成仏を願います。このように自然宗教は日常生活に溶け込んでいるのです。このことから、無宗教だと思っていた自分の中に宗教心があることに気が付きました。
また、塾長先生は日本人が「宗教」から遠ざかった理由について教えてくださいました。それは、明治政府が国民を統一するために行った国家神道の制定という政策です。政府が国の宗教を神道と定めたことで、人々は各々信じていたその他の宗教を胸の内に留めるようになり、それが徐々に日本人の宗教を公に語らない心理に繋がったというのです。

その後、仲野塾長は次のように問いかけられました。もし思わぬ出来事が起きて理屈で説明できない事態に陥ったらどうするか、と。すなわち、不条理に直面した時、私たちは、何故自分がこんな目にあうのかと理由を問いたくなるものです。その問いに答えてくれるのが、真の宗教ではないかと問題提起されました。つまり宗教とは、目に見えない、常識という理屈の世界を超えたところにあるものを信じることだと塾長先生はおっしゃいました。自分の力を信じるという行為も、見えないものを信じるという点で、宗教に通じるものがあるのです。

人間塾2022年度ヤングセミナー:合宿に向けて話合い

合宿に向けて話合い

そして、不条理に直面した際は、自分は太古の昔から遠い未来まで続く歴史の流れ、つまり「大きな物語」の一部にすぎないと自覚できるかが重要であるとお話しくださいました。自分ひとりの人生しか考えていない場合、自分の力だけでは対処できない不条理な困難を乗り越えられません。しかし、大きな物語の一部であると認識することで、直面した困難の意義や自分の果たすべき役割に気付き、乗り越える可能性が生まれてくるのです。また、大きな物語に参加するためには、物事を俯瞰し、遠くまで見通す力である「智慧」を持たねばならないと話されました。

実は、私は理屈で物事を考えがちな人間です。しかし、今回のお話を聞いて、常識という理屈の世界に囚われていては、見える範囲も、自分に出来ることも、限られてしまうと気付きました。また、私たち塾生は私たちが秘めている可能性を、人間塾にかかわる多くの人たちから信じてもらい、期待されている存在です。そういった方々の気持ちを決して忘れることなく、「智慧」を身につけ、より良い社会づくりに尽力したいと強く思ったセミナーでした。



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