ヤングセミナー

【レポート】人間塾2022年度第7回ヤングセミナー

2022年7月16日

2022年6月30日のヤングセミナーでは、教養について話をしました。大学教育は本来、教養という土台の上に専門性を養うことでその使命を果たすものであると考えます。

しかし、塾生たちの話を聞いていると、昨今は、教養教育が表面的、あるいはないがしろにされていく実態があるように思います。本を読むだけでは教養は身につきません。頭の中にある理念を、実際に生きてみること、体験してみることも教養を豊かに育てる上でとても大切な事なのです。

今回のレポーターは第11期生の江渡恵里奈グレースです。
是非ご一読ください。

塾長・仲野好重

人間塾 第11期生 江渡恵里奈グレース
(北里大学2年)

去る6月30日、第7回ヤングセミナーが行われました。

今回のセミナーでは「教養」についてお話を伺いました。この言葉は、多くの方にとって馴染みのあるものではないでしょうか。実際、私たち塾生が通う大学には「一般教養」と呼ばれる科目があり、私たちは普段から何度も耳にしています。しかし私は、今回のセミナーを通して、「教養」という言葉の本当の意味を自分が理解していなかったということに気付きました。

人間塾2022年度ヤングセミナー:対話を交えたセミナー

対話を交えたセミナー

なぜ人々は教養を大事にするのでしょうか。そもそも教養とは、一体何なのでしょうか。塾長先生は、まず絵画を例にお話ししてくださいました。絵画をただの「絵」として終わらせるのではなく、それ以上のことを考えるために役立つもの、それが教養です。教養は、その絵画に描かれているものごとだけではなく、その背景や、その絵に込められた感情にまで思考を巡らせることを可能にします。

私たちが日々学んでいる事柄は、一つひとつの点にすぎません。その無数の点を、想像や対話、経験によって繋いでいくことで、教養が成り立つと塾長は仰いました。これは、教養を得る過程に「分かち合うこと」が必ず付随するという意味です。私はここに、過去のセミナーでお話を伺った「豊かさ」との繋がりを感じました。真の豊かさとは、他者の幸福のために行動し、自分がもっているものを分かち合えることを指します。点と点を繋いでいった先には、「豊かな人間性」が待っていると思います。

私は現在、大学で薬学を学んでいます。授業では、他職種どうしが対等な関係で専門知識を分かち合い、患者中心の医療の実現を目指すチーム医療を学ぶ機会があります。セミナーの中で塾長先生がホワイトボードに描かれた、点と点を繋いだ網のような形をした「教養」の図が、チーム医療と重なるように感じられました。一つひとつの学びを繋げていくことで初めて教養が芽生えますが、ここでの「点」は、私たち個々の存在であるとも思いました。多くの人が多くのものを惜しみなく与え合うことで作り出す網、すなわちネットワークこそが、チーム医療であり、また私たちの日常生活において豊かな社会を作る基盤となるものでもあると思いました。

人間塾2022年度ヤングセミナー:西瓜をいただきました

西瓜をいただきました

今回のセミナーを受けて、塾長先生がおっしゃった「現状に満足することは、貧しさに魂を売り渡したということです」という言葉が強く印象に残りました。私たちには、日々出会う「具体」的な点と点とを結びつけ、それらの根本に共通する「抽象」的なものを見出していく必要があります。そして、その実現のためには、目先のことに囚われずに信念を貫く「軸」が大切です。「使命に挑戦するチャンスは何回もあります」「チャンスに期待することも私たちの使命です」という塾長先生の力強い言葉に、私は背中を押されました。

私たち塾生が、大学で教養を学ぶ機会を与えられているのは、教養がより善く生きる姿勢の源だからだと感じました。今回のセミナーを通して、私は教養の真髄に気付くこともできました。日々の努力や我慢の先に真の豊かさがあるということを知ってしまった以上、それを知る前の自分に戻ることはできません。この恵まれた環境下で立ち止まらないために、他者との関わりを大切にしながら精進していこうと思いました。



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