ヤングセミナー

【レポート】人間塾2022年度第3回ヤングセミナー

2022年5月21日

5月12日に第3回ヤングセミナーを開催しました。

1982年2月、戒厳令下のフィリピンを初めて訪ねたときのエピソードを塾生たちの紹介しながら、40年近く経った現在の国際情勢について、皆で考えました。

今回のレポーターは第11期生の橋本研人です。
是非ご一読ください。

塾長・仲野好重

人間塾 第11期生 橋本研人
(東京大学2年)

去る5月12日、第3回ヤングセミナーが行われました。今回は、新聞記事を参考にしながら、塾長の講義は始まりました。

人間塾2022年度ヤングセミナー:今井君から母の日のお花

今井君から母の日のお花

最初の記事は、社会政治学者の栗原彬氏の著書より、「その「余計な」行為は、何と人間の密度に充ちていることでしょう」という言葉が紹介されました。そして、それに対する鷲田清一氏の解説を皆で読みました。

鷲田氏は、一見無駄で無意味に見える行動の中に人の尊厳の極致がある、と解説しています。塾長はこの記事を通して、一見無駄な行動のように感じる事柄の中に、そして一種の「遊び」の中に、人間の深みがあるとお話しされました。逆に、常に時間に対して合理的で無駄を嫌う人に、人の真の尊厳がわかるのでしょうかと我々塾生に問いかけられました。

これを聞いて私は、塾長から新たな課題が与えられたと思いました。自分は時間に合理的で、無駄がないほうが良いと思っており、まだこの深みや尊厳の真の意味が分かっていないからです。私には、目標を定めると、それを達成するための活動だけに専念し、それ以外の行動をできるだけしないようにするという癖があります。例えば、テストでいい成績をとることを目標にすると、テスト前は勉強以外の事を避けて生活をします。しかしこれは余裕のない状態であり、塾長の仰る人間の深みに近づくことができないことは明らかです。このレポートを書いている今も、どうやってこの深みや尊厳を理解できるだろうかと考えています。

次に、フィリピンの次期大統領が、フェルディナンド・マルコスに決まったことに対する複数の論評を読みました。その後塾長は、ここ数十年のフィリピン政治の歴史と、ご自身がフィリピンで経験されたいくつかのエピソードを、私たちにお話しくださいました。塾長は大学生1年生の時に初めてフィリピンに行かれたそうです。この頃は、今回大統領に当選したフェルディナンド・マルコスの父が独裁政権を握っていました。塾長は、スラムにホームステイをすることを通して、市民たちの政治への不満や、独裁政権の厳しい現実を目の当たりにされたそうです。

しかしそんな社会情勢の中でも、命を懸けて夜の集会を行い(戒厳令下で)、政治について熱く議論するフィリピンの大学生達と、現地で出会ったそうです。塾長の話を通して、私は、我々塾生がいかに恵まれた環境にいるかを感じました。ウクライナへの軍事侵攻も然り、世界には日々生きるか死ぬかの戦いをしている若者が大勢います。そんな彼らと比べて、大学に通うことができ、勉強や課外活動に専念できる我々はとても幸せです。我々が彼らのために今できることは限られていると思いますが、だからこそ、日々を精一杯生きなくてはならないと思います。

今与えられた機会を最大限活用し、努力を惜しまず、少しでも社会に貢献していくことが重要だと改めて感じさせられました。まだまだ未熟者ですが、日々できることを精一杯やろう、と決意を新たにしました。

人間塾2022年度ヤングセミナー:セミナーを終えて一息

セミナーを終えて一息




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