ヤングセミナー
【レポート】人間塾2022年度春季合宿二日目
2022年5月17日
合宿2日目は、塾生間の議論もますます活気づいてきました。塾生同士が打ち解け、腹を割って話せる雰囲気も出てきたように感じます。
今回のレポーターは、音楽、イラスト、歌、ダンスと表現方法を沢山持っている第10期生福田真有です。
是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾 第10期生 福田真有
(フェリス女学院大学3年)
合宿2日目は、お天気に恵まれ、気持ちの良い青空のもと始まりました。
午前中は、短いセッションの後、BSごとに(*)自然の中を散策しました。暖かな日差しと山々に囲まれた自然の中で、ゆっくりとそれぞれの思いを話すことができました。4月に入塾したばかりの11期生も、緊張が解けお互いのことをよく知ることができたと思います。
(*)BS:2021年度から開始されたBrothers and Sisters制度によるグループ。塾生が期をまたいでグループを組み、先輩塾生が後輩塾生を兄弟姉妹のようにサポートします。
この日のセッションは、「人生とは何か?」という問いかけから始まりました。私たちの日常はいいことばかりではなく、決して順風満帆とは言えません。しかし、その日常の積み重ねが人生になっていきます。誰しも「なぜあんなことが起こったのか?」「なぜ私があんな目にあわなければならないのか」と、問いたくなることがたくさんあります。しかし、私たちが持つ人生に対する問いには、必ずしも明確な答えはありません。また答えがあったとしても、時には不条理に思えるようなものかもしれません。私たちには、その不条理を受け入れ、その先の人生をより良いものにするために努力し続ける必要があると思います。
お昼からのセッションでは、塾長から「夢」を持つことについてお話しいただきました。夢を持つことは良いことのように思われますが、「夢」とは「自分の欲」でもあります。「自分がこうしたい」という目標である夢を、ただ追うだけで良いのでしょうか。自分だけが満足して良いのでしょうか。また、夢が実現したとき、私たちはつい「自分の力で成し遂げた」と思いたくなってしまいます。目標に向かって努力している最中は、人の助けや協力をありがたく思っていても、いざそれが叶うと「これは自分一人の力で為したことだ」という慢心がついつい頭をもたげます。しかし、自分一人の力でできることなど何一つありません。夢を持つことに対して、少しでも関わってくれる人のことを忘れず、自分の欲を優先していないか常に振り返り、覚悟を持って夢と向き合ってほしいと、塾長はお話されました。
私は現在、大学で音楽を勉強し、将来は芸術に携わる人間になりたいという「夢」を持っています。音楽を含む芸術は、直接人の役に立つことはないだろうから、私の「夢」は結局自分のやりたいことを追い求めているだけの自己満足なのではないか、と葛藤することが多々ありました。しかしお話を聞くうちに、夢を持つこと自体は決して悪いことではなく、このような葛藤を感じながらも周囲への感謝を忘れず、より多くの人へ還元できるよう努力し続けることが大事なのだと気づきました。
夜のセッションでは、浄土真宗の開祖である親鸞を例に出しながら、再び人生について考えました。親鸞の「念仏」の教えは、「他力本願」という考え方に基づくものです。「本願」というのは、もともと阿弥陀如来が衆生を救おうとする願いのことなのだそうです。この本願を、自分の修行によって成就させようとするのが「自力本願」ですが、親鸞はこれを否定しました。なぜなら、「自分一人の力によって成し遂げた」という傲慢な思いが残るからです。よって、阿弥陀如来の本願を信じて念仏を唱えることで、その「他力」を借りて極楽浄土を目指す「他力本願」を親鸞は教えに取り入れ、浄土真宗を開きました。
私たちの人生も同じことです。人間には限界があり、ひとりの力で成し遂げられることは一つもありません。他者がいなければ、「夢」は実現せず、また人生も展開できません。どんな夢をもち、またそれをどうやって目指すのか、そしてどんな人生を生きるのか。自分一人だけが満足するのではなく、他者と共有し共に喜び合うことのできる生き方を選べる人間になりたいと改めて思います。