ヤングセミナー
【レポート】人間塾2021年度第22回ヤングセミナー
2022年2月17日
人間塾 第10期生 福田真有
(フェリス女学院大学2年)
2月10日に第22回ヤングセミナーが行われました。新型コロナウイルスのオミクロン株感染拡大の影響で、この日はオンラインでの開催になってしまいました。また寒波により、大雪となった地域もあり、それぞれが安全な自宅から参加しました。
オンラインでのセミナーでは、塾長先生は普段の対面のセミナーよりも詳しく塾生の近況を尋ねてくださいます。いつもなら、セミナーが始まる前に直接お話しできますが、オンラインではそうもいきません。その中で、ある塾生が「大勢の人の前で話すときにどうしても緊張してしまう」という悩みを話しました。これに対し塾長先生は、「緊張をなくすには、場数を踏むことと、勉強することが必要だ」と仰いました。経験が多ければ多いほど、慣れて緊張は薄れます。しかしその一方で、慣れてしまうことにより、その場しのぎの発表になりがちです。たとえうまく話せたとしても、もし内容が浅ければそれはその人にとって本当の自信にはなりません。よって、常に勉強して知識を深め、それらを反芻して自分の知識と教養を掘り下げる必要があるのです。真に自信を持って自分の成果を発表できる人間になるために、一生勉強を続けなくてはならないことを改めて実感しました。
その後、塾長先生から「社会包摂」という言葉を教えていただきました。これは、真の多様性を受け入れて構成される社会のことを意味しています。社会で困っている人や、弱い立場にある人がいても、その人々を置き去りにせず、みんなでより良い社会を作っていこうとする考え方が背景にあります。この言葉について、塾長先生はご自身の小学校時代の経験を通して説明してくださいました。塾長先生が小学生の頃は、特別支援学級は存在せず、障がいのある子どもも皆同じクラスだったそうです。障がいのある子の他にも、勉強のできる子、運動のできる子など、いろいろな子がいて、みんながその中で自然に自分らしく存在できるよう、お互いがお互いを助け合っていたといいます。
今の社会では、多くのものが二分化されて考えられがちです。私たち人間はひとりひとり違うのですから、本当は綺麗に二つに分けることなどできないはずです。しかし、性別、人種、障がいの有無などで二分され、お互いが助け合うどころか、睨み合うような現状があります。その分断の広がりが、格差社会を生んでいます。そしてその格差社会に拍車をかけるように情報化がすすみ、常に新しく情報刷新しなければ、社会からどんどん取り残されてしまいます。
私は趣味でデジタルイラストを描いており、SNSにも投稿しています。一生懸命描いて投稿したからには、やはり多くの人に見てもらいたいと思います。しかし、とくにSNS上では、同じような絵であっても、頻繁に新しい作品を投稿する人のほうが、多く閲覧されます。そこで、私は最近タブレット端末を購入しました。イラストを描くためだけではありませんが、もっと早く絵を描いて投稿できたらいいなという思いもあっての購入でした。しかし、私は今回のセミナーで学ぶうちに、自分が深く考えないまま情報化社会、超多忙社会の波に乗っていこうとしていたことに気づきました。冒頭の、緊張をなくすためには場数を踏んで勉強し続ける必要があるというお話と同じように、イラストも数を描けばいいというわけではありません。安易な考え方に逃げて自分だけの欲求を満たすのではなく、自分の持っている技術や作品を社会のために活かすにはどうするべきか、考えなくてはいけないと再認識しました。
私たち塾生は、大学で勉強することができ、人間塾からたくさんの支援をいただいて、物心共に豊かに生活することができています。その私たちは、ただ忙しい現代社会に身を置くのではなく、同じ社会で生きている多くの人々を繋ぎ、より良い社会をつくるために持てる力を使うべきであると強く思いました。