ヤングセミナー
【レポート】人間塾2021年度第20回ヤングセミナー
2022年1月28日
人間塾 第10期生 髙瀨玲也
(東京学芸大学2年)
1月13日、第20回ヤングセミナーが行われました。本日は、2022年になってから初めてのセミナーとなります。塾生はみな気持ちを新たにし、真剣な眼差しでセミナーに臨んでいました。
今回のセミナーでは、まずロバート・フロストの詩『火と氷』を題材に、世界と、その世界に生きる人間について考えました。この詩には、世界を滅ぼす2つの要因である「火」(欲望)と「氷」(憎悪)が描かれています。そして、自分のためだけの欲望や憎悪は、世界を破滅させるだけでなく、やがては自分自身をも焼き尽くすか、あるいは凍りつかせてしまいます。「火」や「氷」は、誰かの幸せを願うがゆえの情熱や、ものごとを落ち着いて多角的に捉えるための冷静さでなければいけないのです。結果ばかりが重視され、競争が激しくなる今日、多くの人間は自分のことばかりを考えているのではないでしょうか。そのような問いを思い巡らすうちに、一人の人間として、相手のことを思って行動することの大切さを改めて痛感しました。
次に塾生は、ベット・ミドラーがかつて歌った『The Rose』を題材に、人間の生き方についてさらに思考を深めました。歌詞の中では、愛が花に、そして私たちがその種に例えられています。その種は、冬の間、重い雪の下に埋もれてしまうかもしれません。しかし、その種は、常に多くの人々から愛という養分を受け取っています。たとえ今が苦しくとも、その養分を糧に、恐れず前を向いていれば、やがて春が来て、自分らしく咲くことができるのです。私はこの歌詞を味わう中で、私たち塾生の成長を願う塾長の熱い思いを強く感じました。
セミナーの最後、塾生はこれらの詩と歌をふまえて考えたことを発表し合いました。粘り強く前を向いて生きること、自分の回りにはたくさんの支えがあること、今日学んだことを後世に伝えていくべきであることなど、塾生は多くのことに気づいた様子でした。中には「死ぬからこそ生きることは美しい」という意見もあり、私自身、有限な生の価値を再認識することができました。
人間は、何かを知り、それに対して自らがすべきことを悟ったとき、その難しさや大変さに悩み苦しみます。しかし、後ろを振り返っている暇はありません。私たちは、それに向かって生きなければならないのです。誰かの幸せを願い、苦しみを恐れず、自分を育ててくれた人々の愛に感謝し、自分らしく花を咲かせることが、人間の生き方として大切であると感じました。そしてまた、そのような生き方こそが、私たち自身の幸せにも繋がるのだと思います。一年の初めにふさわしい、大きな収穫を得ることができたセミナーとなりました。