ヤングセミナー
【レポート】人間塾2021年度第6回ヤングセミナー
2021年6月28日
人間塾 第9期生 猿渡啓太
(多摩美術大学3年)
6月17日に第6回ヤングセミナーが行われました。今回も三密を避けた上で、慎重にセミナーは開催されました。その日は、昨年度修了した第7期生の西川泉希さんが駆けつけてくださいました。在塾生は久しぶりに西川さんに会えて、嬉しそうにしていました。どこか人間塾全体が明るい雰囲気で、本日のセミナーは始まりました。
仲野塾長はまず、アッシジのフランシスコという男についてお話しして下さいました。フランシスコはイタリアのアッシジの裕福な家庭で生まれ育った男でした。その男は豪遊と戦いを繰り返しながら生活をしていました。しかし、ある戦いで大けがを負い瀕死の状態で帰還します。そして、療養のため安静にする生活を強いられてしまいます。そんな生活の中、男は「自分は何故生き残ったのか」ということを考え始めます。それを考えていく内に、裕福な生活をしている自分に違和感を覚えます。そして家業を継がずに、家を出る決心をします。
男は、自分を後継者にしたかった父と葛藤状態に陥りながらも、自分の生きる道を探すことにしました。自分が今生きている意味を知るために、森をさまよったり、いろいろな教会を訪ねたりしました。しかし、どこを訪ねても「あなたにしかできないことがあるから生き残ったのだ」と思い知らされるのでした。そしてある日、祈っている時に、彼は「教会を再建しなさい」と告げられました。このお告げがきっかけになり彼は、倒壊しかけている教会を立て直し始めます。
彼は崩れた教会を立て直すために石を一つ一つ積み上げることから始めます。地域の人の協力もあり、やっとの思いで教会の外見は立て直すことができました。しかし、その教会はまだ人が集まるような場所ではありませんでした。フランシスコは、教会は人が集まる場所であるべきだ、と考えていました。そして、教会を立て直しながらも、自分の信仰を人々に語りました。すると多くの人が集まってきて、それが土台となり、「フランシスコ修道会」という托鉢修行をする修道会を設立することになっていくのです。
そして塾長は私たちにフランシスコが残した「平和を求める祈り」を紹介してくださいました。私がその祈りの言葉の中で特に印象的だったのは、最後にある「わたしたちは、与えるから受け、ゆるすからゆるされ、自分を捨てて死に、永遠のいのちをいただくのですから。」という部分でした。
私はその部分を聞き、普段の生活を振り返りました。いつも人様からもらってばかりいないか、自分の我欲を抑えて相手に歩みよっているのか、誰かの中に生き続けられるような人間であるのか等、色々なことを振り返りました。そして、多くの人からいただいてばかりいる自分を反省しました。もらってばかりではなく、与える人でありたいと、私は思います。
また、私は自分の我欲によって、自分の良心を埋もれさせてしまうことがよくありました。しかし、何度も我欲を抑え、日常の精神的な小さな死を繰り返すことで、ようやく変わって来たと思います。
フランシスコの様に死を身近に経験することで生まれ変わる場合もありますが、私は小さな死を繰り返すことでこれからも良い方向へと変化をしていこうと思います。