ヤングセミナー

【レポート】人間塾2021年度第4回ヤングセミナー

2021年6月5日

人間塾 第9期生 張すじん
(日本大学3年)

5月27日、この日は対面にてヤングセミナーが開催されました。対面という形で塾生が集まったのは1ヶ月ぶりでしたので、直接面と向かって言葉を交わせる喜びを感じつつ、お互いの近況や世間話に花を咲かせました。

この日のヤングセミナーは、歴史的な動画を鑑賞しました。その動画の内容は、ベルリンの壁が崩壊する3ヶ月前に開催された、「ヨーロッパ・ピクニック計画」というイベントの時点から、既にベルリンの壁崩壊へのカウントダウンが始まっていた、という内容でした。

人間塾2021年度ヤングセミナー:本物のベルリンの壁!

本物のベルリンの壁!

ベルリンの壁が崩壊する以前の東ドイツは、国家という名の“牢獄”と呼ばれ、国家は国民が西ドイツへ向けて出国することを制限するために、国民の行動を厳しく監視していました。

しかし、ハンガリーが「鉄のカーテン」と呼ばれる、ヨーロッパ大陸を東西に分断する鉄条網を撤去したことで、西へ逃れられる場所ができてしまいました。そして、当時のハンガリーのネーメト首相らが中心となって、「一度でも国境を開ける機会を作れば、鉄のカーテンそのものの意味を失い、西ドイツへの逃げ道ができることになるのではないか」と考えます。それを実行するために、ハンガリーのショプロンという街の国境の門を数時間だけ開くという計画を立てるのです。これが「ヨーロッパ ・ピクニック計画」でした。

「ヨーロッパ ・ピクニック計画」が無事に成功した後、東ドイツは40周年の建国記念を迎えます。その式典の際に、東ドイツの政治家たちは、東ドイツが滅亡の危機に立たされていることに加え、ソ連のゴルバチョフからも見放されていることを悟ります。また、その後に起こった国民のデモから「自由に生きたい。自分の思うままに生きたい」という国民の思いを、今まで過小評価していたことを実感するのです。

私は、このような歴史的背景を学びながら、まずは、私たち国民一人一人がアクションを起こさなければ、何も変わらないのだと痛感しました。

また、東ドイツからの脱出を試みた、ある一人の女性が、「自分の人生を自分で決められることが自由だとしたら、なんて素晴らしいことだろう。自由とは一体なんだろう」と、感想を述べていました。これを受けて、私は現在の自由について考えましたが、果たして、その女性が話す自由は本当に素晴らしいものだと言い切れるだろうか、と疑問に思いました。

もし、そのような“自由”が最も素晴らしいものであり、かつ人々から讃えられてしまうのであれば、「自分の人生を自分の好きなように決めたいから、相手よりも自分の利益を優先する」といった考え方も正しいことになってしまいます。しかし、国や時代を超えて、お互い助け合いながら成長してきた私たち人間が、それぞれ好き勝手に生きてしまったら、なんて悲しいことだろうと私は感じるのです。

人間塾2021年度ヤングセミナー:真剣に話し合い中

真剣に話し合い中

塾長先生は、この動画を鑑賞する前に、「あなたたち塾生にとって、ベルリンの壁が崩壊したという出来事は、あまり現実味のない、遠い歴史の一つではないですか?」と問いかけました。動画を見る前の私は、それこそ教科書に載ってるうちの一つの歴史に過ぎない、といった程度の認識でした。しかし、動画を鑑賞してから、どんなに遠い歴史であっても、現在の私たちにも通ずることが、何かしら必ずあることを感じました。そして、そのような歴史を知り、現在の私たちが考えるべきことは数え切れないほどあり、“現実味のない歴史”で終わらせてはいけないと思いました。

今後学業に励む中で、自分の専門分野だけにとどまらず、物事の歴史的背景まで常に目を向け、考える努力をしたいと感じました。



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