ヤングセミナー

【レポート】人間塾2021年度第9回シンポジウム

2021年11月4日

人間塾 第7期生 小川大介
(筑波大学3年)

2021年10月24日に第9回人間塾シンポジウムを開催しました。今回のシンポジウムではパネルディスカッション形式を採り入れ、「私たちはなぜ生きるのか?」をテーマとして実施しました。パネリストを三人の塾生が担当し、コーディネーターを仲野塾長にお願いしました。

2021年度第9回人間塾シンポジウム:シンポジウムの様子

シンポジウムの様子

仲野塾長先生の基調講演で始まり、次に3人のパネリストの発表へと続きます。その後、会場の参加者の皆さんを交えてのディスカッションに進むという順序で、シンポジウムは行われました。

「人生は思い描いた通りに展開しないものだ」ということを塾長先生の人生経験をもとに基調講演でお話しされました。塾長先生は大学を卒業した当時、インドやアフリカで貧しい子どもたちの支援をしたいと考えていたそうです。しかし、語学留学をしたアメリカで思わぬ出会いと巡り合わせがあり、当初思い描いていたような人生を歩むことはありませんでした。そして紆余曲折を経て、現在は人間塾で学生たちと向き合っているという内容でした。人生は思わぬことの連続です。しかし、その中で社会をより良いものにするという「大きな志」は一貫してぶれることなく持っており、それを軸にして生きている、と塾長先生は話されました。

基調講演後、3人のパネリストの発表を行いました。自分にとっての「私はなぜ生きるのか」というテーマについて、それぞれが自分の考えを述べました。私もそのパネリストの一人でしたが、私たち3人の発表内容は、赤裸々でまた三者三様でした。そこで語られた中で、私にとって印象深かったキーワードは、「幸せ」「生きがい」「他人の喜び」などでした。会場の参加者の皆さんも、熱心に聞き入っておられ、メモを取ったり、大きく頷いたりと、それぞれに心に残る言葉があったように見受けられました。


2021年度第9回人間塾シンポジウム:3人のパネリスト
3人のパネリスト
2021年度第9回人間塾シンポジウム:力を込めて発表
力を込めて発表


パネリストの発表後、参加者を交えての議論が始まりました。「幸せとは何か?」「利他的な行動と利己的な行動の境界は何か?」などの質問が出てくる中で、「生きる意味を考える意味はあるのか?」という質問をある参加者が述べました。その質問への回答で「意味はある、なぜならばよりよく生きるため」「生きること自体の意味を考えざるを得ない状況になることがあるため」など様々な意見が交わされました。

続いて、「生きる意味を考える上で苦労や挫折は必要なのか」という問いが議論の焦点になりました。多くの参加者や塾生が、生きる意味を考える理由やきっかけについて話してくれました。挫折がきっかけとなった人、挫折はなかったがよりよく生きるために考える必要に迫られた人、将来の不安感から意味を考え始めた人など、様々な人がいることがわかりました。

2021年度第9回人間塾シンポジウム:井上さんも意見交換

井上さんも意見交換

最後に仲野塾長がこれらの話を踏まえ、「夜と霧」の著者であるヴィクトール・フランクルのある発見についてお話してくださいました。ナチスの強制収容所という過酷な環境の中、当時、虐殺されるだけではなく、生きる希望を失って自殺する人もいたそうです。そのような追い詰められた状況下にあっても、死ぬことを選ぶのではなく、生きる選択をした人々の中に、フランクルはある共通点を見いだしました。それは、人生において「生きる意味」を見出せたか、あるいは見出そうとしたか、だったとフランクルは述べているそうです。この共通点を深く考えてみると、人生において挫折や苦労に陥ったときでも、生きていく為に、私たちは生きる意味を必要とするであろうと、塾長先生は話されました。

参加した学生は、強制収容所のような生死の狭間をさまよう様な過酷な環境下にはいません。しかし、苦労や苦難には様々な形があると思います。現代社会にいても、多くの人が将来への不安、挫折、無力感など精神的な苦痛を抱えています。私たちはこの苦難を乗り越えるために「なぜ生きるか?」を考えなくてはなりません。

今回のシンポジウムでは、終始活発な議論がなされ、本音が飛び交う場となり、有意義な時間を過ごすことができました。ご尽力下さった皆様、参加者の方々に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

2021年度第9回人間塾シンポジウム:質問は続く

質問は続く


※当日の仲野塾長による基調講演、3名のパネリストの発表の動画を追加しました。
ぜひご覧ください!(2021年11月15日追記)



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