ヤングセミナー

【レポート】人間塾2021年度オンライン読書討論会・二日目

2021年5月13日

人間塾 第9期生 山本天智
(国際医療福祉大学3年)

5月4日、オンラインにて読書討論会が開催されました。

第2回ヤングセミナーの際にBS制度(Brothers & Sisters制度)のグループごとに、作家別で課題図書が塾生それぞれに与えられました。討論会前日の5月3日には、グループごとに課題となった作品と作家について討論を行いました。そこでは作品の時代背景やその作品における作家の意図、複数の作品を比べた相違点や主張の変化などを議論し、スライドにまとめました。討論会での発表者はそれぞれのグループの10期生と決まっており、発表内容の議論はいずれのグループにおいても遅くまで続きました。

課題となった作者と作品は以下の通りです。

  • 夏目漱石:『こころ』『私の個人主義』& 森鴎外:『舞姫』『山椒大夫』『高瀬舟』
  • フロム:『自由からの逃走』『愛するということ』
  • トルストイ:『復活』
  • ドストエフスキー:『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』
  • 遠藤周作:『沈黙』『死海のほとり』『深い河』
  • フランクル:『夜と霧』『それでも人生にイエスと言う』
人間塾2021年度ヤングセミナー:たくさん読まないと!

たくさん読まないと!

【写真上段(左から)】
V.E.フランクル、山田 邦男・松田 美佳訳『それでも人生にイエスと言う』(春秋社刊)/ヴィクトール・E・フランクル、池田 香代子訳『夜と霧 新版』(みすず書房刊)/エーリッヒ・フロム、日高 六郎訳『自由からの逃走』(東京創元社刊)/ドストエフスキー、 工藤 精一郎訳『罪と罰〈下〉』(新潮文庫刊)/ドストエフスキー、 工藤 精一郎訳『罪と罰〈上〉』(新潮文庫刊)

【写真下段(左から)】
夏目 漱石『こころ』(新潮文庫刊)PREMIUM COVER 2016/遠藤 周作『沈黙』(新潮文庫刊)/遠藤 周作『深い河』(講談社文庫刊)/トルストイ、木村 浩訳『復活〈下〉』(新潮文庫刊)/トルストイ、木村 浩訳『復活〈上〉』(新潮文庫刊)


討論会はそれぞれのグループがおよそ20分ずつの持ち時間で、発表と質疑応答を行いました。発表者である10期生は緊張しておりましたが、皆とても上手に発表をしてくれました。どのグループの発表もその時代背景や作品に込められた作者の主張を読み取っており興味深いものばかりでした。今回の討論会で最も興味深かったことは、時代や出身地が全く異なる作者同士であっても、共通した主張や考え方が多数みられるという点でした。ある班の発表を聞いて「私たちの作者にも同じような主張がある!」という議論がいくつもありました。例えば夏目漱石の『こころ』とフロムの『愛するということ』からは、自由主義における『責任』という共通のテーマが浮かび上がってきました。また、もし森鴎外の『高瀬舟』をフランクルが読んだら彼はどのような批評を繰り広げるだろうか、というような今回の討論会ならではのやり取りもみられました。その他にも遠藤周作『沈黙』を過去のセミナーの講話と関連付けたり、トルストイ『復活』の内容とタイトルの関連性を吟味したりと議論は白熱し、時間はあっという間に過ぎていきました。

人間塾2021年度ヤングセミナー:発表の様子
発表の様子

今回の討論会を通して、同一作者の異なる作品を読み比べることはもちろんですが、異なる作者の作品を比較したり共通点を見出すことはとても新鮮でした。今回の経験を通して、これからまた新たな視点を持って本を読むことができると思います。この学びを忘れずに今後も様々な年代、ジャンルの本にチャレンジしていきたいと思います。

また今回の討論会は前日のBS制度のグループワークから当日の討論によって先輩塾生と10期生がお互いを知り、交流を深めるとても良い機会になりました。先輩後輩関係なく意見を出し合って議論することはとても有意義な時間であり、今後もお互いに切磋琢磨しながら成長していきたいと思います。



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