ヤングセミナー
【レポート】人間塾2021年度まとめ合宿二日目
2022年3月12日
人間塾 第9期生 今村秀一朗
(慶應義塾大学4年)
2021度の「まとめ合宿」は、2日連続で天候に恵まれた日程となりました。朝食をいただく部屋の窓からは綺麗な富士山が見え、心地よい気分で合宿2日目が始まりました。
朝食後のセッションでは、塾長先生から塾生に対して「宿題」が言い渡されました。それは「あなたはどこから来て、どこに行くのですか?」という問いでした。この短い質問に答えるために、私たちは1年間の塾生生活を振り返ると同時に、「これから先どのように生きていくか」という決意をします。そして、この問いに対する自分の答えを見つけるため、昨日見つけた「お気に入りの場所」をもう一度訪れて、その場所でじっくり考えるように、と塾長先生からご指示いただきました。
私は、宿泊施設を出てから林道を20分ほど進んだ先にある暗いヒノキ林をお気に入りの場所として選んでいました。その場所を目指して歩いていると、道中で草原に座ってじっと考える塾生、木陰で木に寄りかかる塾生など、さまざまな場所で考え事をする塾生の姿が見られました。
目的地に到着すると、場所は同じであるにも関わらず、昨日とは少し異なった雰囲気がしました。昨日は、直感的にヒノキ林を選んだのですが、改めてじっくりと辺りを見渡してみると、自分がこの場所を選んだ理由がわかりました。その場所は、背の高い木々に囲まれ、背後は藪に覆われおり、私は「包まれているような感覚」に対して居心地の良さを感じているのだと気付きました。
そして、自分の人生を振り返ると、常に何かを恐れて、警戒し、物事を疑いながら見る癖があったことに気付かされました。友達が敵になることを恐れたり、挑戦したくても失敗を恐れたりしていました。こうした「警戒感」「疑い」の現れとして、自然に包まれ、守られた感覚になれるヒノキ林が心地よく感じるのだと気付きました。
しかし、人間塾で学んだことを、これから社会で活かしていくためには、森の中でじっとしているわけにはいきません。常に何かを警戒していては、自分の能力を社会のために最大限に発揮できないからです。あるいは、人を疑ってばかりいては、良好な人間関係を築くのも難しいでしょう。そこで、私は「人を疑う世界」から脱して「人を信じる世界」へ行こう、と森の中で心に決めました。
宿泊施設に戻り、昼食をいただいた後、塾生は各々お気に入りの場所で考えたことを分かち合いました。大自然から感じ取ったことについて共有し、来年度以降の決意を1人ずつ発表しました。私にとっては、今回が2度目のまとめ合宿参加であると同時に、在塾生として参加する最後のまとめ合宿でした。そこで、塾生生活の集大成として、この2年間を振り返り、自分が変化できた点、あるいはまだ克服できていない点を正直に見つめ、これから社会人として生きていくための決意をする良い機会となりました。人間塾の在籍している間は、何かあれば塾長先生からご指導を受けることができましたが、会社で働く時に、叱ってくれる塾長先生は近くにいません。これから先、塾長先生がいない場所で、自分で自分を律して生きていくことは、とても苦しく、辛く、孤独な闘いになるかもしれません。しかし、分かち合いの場で、塾生の決意を聞いているうちに、「自分はひとりじゃない、人間塾の仲間がいる」という気持ちになりました。
私は来年度から関西で働く予定であり、言葉通り人間塾から離れた生活を送ることになりますが、自分がこの2年間で学んだことを決して忘れず、そして離れた地で一緒に頑張っている人間塾の仲間がいることを忘れることなく、新天地で社会のために精一杯働こうと心に決めることができました。