ヤングセミナー
【レポート】人間塾2020年度第17回ヤングセミナー
2020年11月6日
人間塾 第9期生 猿渡啓太
(多摩美術大学2年)
2020年10月29日、人間塾第17回ヤングセミナーが行われました。本日は修了生で第5期生の佐藤仰さんがセミナーに駆けつけてくださいました。在塾生も久しぶりに全員揃い、にぎやかな雰囲気でセミナーが始まりました。今回もしっかりとした新型コロナウイルス感染予防対策のもと、セミナーは行われました。
仲野塾長は神谷美恵子さんのお話をされました。神谷さんは精神科の医師でした。あるきっかけから長島愛生園というハンセン氏病患者の療養施設に赴くことになり、そこで患者の方々と面談をするようになりました。
神谷さんは患者さんたちとの面談を通して、患者さんの心の内面を知るようになりました。ハンセン氏病を発症し、家族や友人、恋人、婚約者と引き離され、施設から出ることもできない、患者さんの中には生きる意味を見失っている方もおられたそうです。患者さんのことを知ることによって、神谷さんは「生きがい」について考えるきっかけを得ました。
神谷さんは「夢や目標に一生懸命に向かって生きていること、そのものが生きがいである」と考えたそうです。私は幸せを感じる時や至福の瞬間に生きがいを感じるものと思っていました。しかし、生きがいは結果ではなく、目標に向かって歩んでいく過程にあるのだと教えられました。私は今自分自身の課題に向き合い変わろうと努力しています。この変わろうと努力し続けるプロセスこそが生きがいなのであると、ハッとさせられました。
神谷さんは患者さんたちと向き合う中で、なぜこの患者さんはハンセン氏病で、自分はハンセン氏病ではないのかと思い「この方々は私が背負うかもしれなかった困難を代わりに背負って下さっている」と考えたそうです。この話をもとに仲野塾長は「生きがい」について考えを深めるために、「摂理」という言葉を言われました。さらに仲野塾長は「摂理」を想像しやすくするため具体例を交えて話してくださいました。
「摂理」の話をふまえ、仲野塾長は精神科医で心理学者でもあるヴィクター・フランクルを紹介されました。「人生に対して、その意味を問うてはいけない。なぜならば、人生の方からあなたにこの人生をどう生きるのかと問われているからだ」という名言を教えてくださいました。
神谷さんも、ヴィクター・フランクルについて学ばれていたそうです。そして、深く洞察する中で、神谷さんは3つの問いを考えていました。一つ目は「あなたは何かのため、誰かのために必要とされているか」です。二つ目は「自分だけの固有の生きる目標はなにか」です。そして三つ目は「あなたの人生は生きるに値するか」です。神谷さんはこれらの問いを深く考え、味わい、実際に生きることを通して答えていくことが、生きがいを持って人生を送るために必要であると考えたそうです。
最後に仲野塾長は「生きている意味を考えなさい。人生の目標を定め、確信を持ちなさい。それを目指して全力で歩んでいく必要があるのです」と仰いました。生きている意味を考え、その上で目標を定め、それに向かって全力で歩んでいくことで、生きがいと出会うのです。そのような人間に、我々塾生もなっていかなくてはなりません。私も人間塾での学びを通して、自分がどのような志の種を持って生まれてきたのかを深く考え、生きている意味を確信できるようになりたいと思いました。