ヤングセミナー
【レポート】人間塾2020年度第2回ヤングセミナー
2020年4月21日
人間塾 第7期生 藤原涼香
(東京慈恵会医科大学4年)
去る4月16日、2020年度第2回ヤングセミナーが行われました。昨今の情勢を踏まえ、先週に引き続きWEB会議という形での開催です。普段のセミナーと形式は異なりますが、塾長の熱いご指導は臨場感に溢れ、遠隔であることを忘れてしまうほどでした。
今回のセミナーのテーマは、「あなたにとっての義務は何ですか」です。
私たちは、前回のセミナーで、「ノブレス・オブリージュ」(高貴なる者は義務を負う)という言葉を習いました。その際、「あなたにとっての義務は何か」を毎日考え、ノートに記すという宿題をいただき、今回のセミナーに臨む準備をして参りました。
セミナーが始まると塾長は、まずは立候補した塾生を皮切りに、順次塾生を指名して、この1週間で考えてきたことを発表させました。
9期生の意見で最も多かったのは、自分が専門としている勉強に励む、技術を磨くというものでした。また、自身の夢、すなわち自分のやりたいことや興味のあることを義務だと考えた塾生もいました。
音楽を専攻し、「技術を磨くことが義務である」と述べた塾生に対し、仲野塾長はイタリアのテノール歌手、アンドレア・ボチェッリについて話されました。彼は、盲目でありながら点字で法学を学び、弁護士となった経歴を持ちます。弁護士として活動する中、世界的なテノール歌手であるルチアーノ・パヴァロッティに見出され、歌手へ転身します。彼は、失明という苦難があっても諦めず努力して法学を学び、その後パヴァロッティの言葉を信じて歌の道に飛び込んだのです。彼の人生を顧みて、塾長は、「技術を磨くことはもちろん大切であるが、それ以上にその人の生き方が人の心を動かす。人との出会いによって人生は変わる。技術だけではなく、むしろ心の在り方によって人生の義務は実現するのだ」とおっしゃいました。
また、自分の夢を義務だと考えていた塾生に対しては、「夢は義務ではない」と述べられました。なぜなら、夢は好きなことや得意なことから始まることが多いですが、義務は苦しみや嫌なことを伴うものだからです。辛いこと、やりたくないことも付随するが、それらも乗り越えてやるべきことこそ、自らの義務なのだと説かれました。
中には、発表した意見に対し、塾長に「浅い」、「幼稚である」と厳しく指摘された塾生もいました。厳しい指摘は耳に痛く、辛いものです。しかし、それらにじっくりと向き合わなくてはなりません。塾長は、人は辛い時や苦しい時にこそ成長するのだと諭されました。
最後に、塾長は、「義務の到達点は、突然現れるものではない」と述べられました。今日の1歩、明日の1歩と少しずつ進むことで、1歩1歩が繋がって到達点へと繋がるのです。そのために、私たちは毎日考え、悩み、そして行動に移さなければなりません。1日1日を誠実に生きてこそ、それぞれの義務を果たすことができるのだと学びました。
「自分にとっての義務は何か」を模索することは、自らの使命とは何かを問うことでもあります。これは、人間塾で学ぶ上で、常に考え続けなければならないテーマです。自分が為すべきことは何か、そしてそれを実現するために今何ができるのかを日々考え、行動していきたいと思います。
*自宅で勉強する毎日ですので、そこから見えてきた風景を写真でご紹介しています(藤原)