ヤングセミナー
【レポート】人間塾2020年度お遍路研修WEBセミナー(1日目)
2019年5月8日
人間塾 第8期生 工藤光太
(東京農工大学4年)
今年はコロナウイルスの影響から、残念ながら小豆島のお遍路研修に行くことは叶いませんでした。しかし、お遍路は人間塾生にとって大変大きな意義のあるイベントです。特に新入塾生にとってのお遍路は、ほかの塾生と打ち解ける良い機会でもあります。そのため、塾長からのご提案と塾生の「9期生にお遍路について知って貰いたい、人間塾に馴染んで貰いたい」という想いが重なった結果、本年度はWebでお遍路に代わるセミナーを開催する運びとなりました。
始めに4人の先輩塾生から、お遍路の概要についての発表がありました。この発表は、9期生にお遍路がどの様なものなのかを知って貰うためのものです。どの発表も分かりやすく伝えるための趣向が凝らされており、発表者の熱意が伝わってきました。
続いて塾長が、人間塾でお遍路を開催するに至った経緯とその意義についてお話しくださいました。そこで心に残ったのは「人からの愛を感じる機会にしてほしい」というお言葉です。昨年度のお遍路研修を振り返ってみると、この言葉の意味がよく理解できました。例えばお遍路には、「お接待」という文化があります。これは、ご自身はお遍路に参加することができない方々が、自分の分も歩いてほしいという想いと、ここまで歩いてきた苦労をねぎらう気持ちを込めて、お遍路をする人々に食事などを施す文化です。私はこのお接待を通じて、それまで周りの人たちから無償の愛を受け取って生きてきたことを知りました。私は常に誰かの愛によって生かされている。それなのに、それまでの私は自分のことばかり考えて生きてきたと気づき、深く反省したことを覚えています。
次に、先輩塾生がお遍路を通じての心や行動の変化について発表しました。どの塾生も自分のことを包み隠さず正直に発表したため、各塾生の人柄と、何に悩んできたのかを知る有意義な時間になりました。ここで、印象的だったある塾生の発表をご紹介させていただきます。彼は以前、何かをすることを「こなす」ことだと捉えていました。しかし、お遍路での参拝を通じて、行為の1つ1つには「深い意味」があるのではないかと考えるようになったそうです。ただ当たり前のようにその行為をしていると、その全体像が見えなくなり、行為の理由を考えずに「こなす」ことしかできなくなります。そこで、物事を行う際には一歩引いて観察し、秘められた意味を考え、味わう必要がある。そんなことを改めて考えさせられる発表でした。
本日は塾生の発表から自分自身の課題についても気づかされた、素晴らしい一日となりました。また、今回のセミナー開催に向けた先輩塾生の働きを間近で見ることは、自身のこれからの人間塾生としての姿勢に向き合う大きな機会となりました。
*写真は私の地元徳島県吉野川市にある、11番札所の藤井寺と、そこに続くお遍路道で撮影したものです。