ヤングセミナー
【レポート】人間塾2019年度第7回ヤングセミナー
2019年7月23日
人間塾 第5期生 尾方莉奈
(上智大学4年)
去る7月11日に第7回ヤングセミナーが行われました。
今回のセミナーのテーマは、ヨハンナ・シュピリの『アルプスの少女ハイジ』でした。皆さんも一度はアニメや本で見たことがあることでしょう。しかし、原作はアニメとは異なります。塾長は、原作を読んだことない私たちに『ハイジ』についてお話してくださいました。私たちは、ハイジの世界に引き込まれていきました。
『アルプスの少女ハイジ』は、様々な出会いや出来事をきっかけに登場人物の心が根本から変わり、人々が成長していくお話です。
一番印象に残っているシーンがあります。それは、ハイジを育てたアルムじいさんがハイジの一言で生きる姿勢が大きく変わったことです。アルムじいさんは、ナポリの戦争に傭兵として行き、敗残兵になって帰ってきてから、人を信頼することができなくなっていました。そのため、村人たちと交流せず、コミュニティの中心である教会に行くこともありませんでした。
そんなある日、ハイジは、アルムじいさんに「おじいさんは、お祈りをしないの?」と尋ねました。アルムじいさんは「祈らない」と答えます。すると、ハイジは「祈らないことは悲しいことだよ」と言い、クララのおばあさんからもらった絵本(聖書物語)を読み聞かせました。そのお話は、莫大の財産をもらった息子が家を出た後に、落ちぶれて家に戻ってきます。しかし、父親は罰するのではなく、心から喜んで息子を受け入れる話です(新約聖書の放蕩息子の例え話)。その話を聞いたアルムじいさんは、こんな風に頑なになった自分でも受け入れてもらえると思い、人々を信じようと考えたのでしょう。翌朝、ハイジを連れて村の教会に行きました。そして、牧師さんや村人たちに受け入れてもらうのです。それから、アルムじいさんは次第に心が寛容になり、人々に優しく、親切になっていきます。彼の本来の姿が現れてきたのです。
私は、人は「何気ない出会いや会話」をきっかけに変わることができるのだと思いました。そして、ハイジのお話を聞いて、自分の経験を思い出しました。その経験は、塾長の一言でした。大学1年生の軽井沢合宿の時に「ふわふわしたお嬢さんだね」と塾長に言われたことです。当時の私は、今まで直球でこんなことを言われたことがなく、衝撃を受けました。それと同時に、なぜそういわれるのか分からず、悔しいと思いました。その悔しさをばねに、初めて自分に向き合い、どういう人になりたいのかを考え始めました。今までは、両親に言われた通りに生きていましたが、初めて自分で考え、悩むようになりました。そして、今は子ども達が健やかに幸せに暮らせる社会を、将来、創っていきたいと考えています。そのため、自分の使命をしっかりと持ち、それを実現できるように積極的に行動できる人になりたいと思っています。
今回のセミナーは、ハイジの世界を堪能したと共に、自分の経験を思い出しました。そして、自分に向き合う原点に戻ることができたセミナーでした。