ヤングセミナー
【レポート】人間塾2019年度軽井沢合宿一日目
2019年10月11日
人間塾 第6期生 尾森恵実
(東京理科大学4年)
9月21日、肌寒い小雨が降る中、軽井沢合宿は始まりました。私にとって3回目の参加となる合宿です。今年度はほぼ半分の塾生が第8期生であり、はじめてこの合宿に参加する塾生が多く、緊張感がひしひしと伝わってきました。
宿泊所である友愛山荘に着いて、昼食を頂いたらすぐに第1回目のセッションが始まりました。何事も原点を知っておくことが大事であるということで、仲野塾長は、毎年宿泊させていただく友愛山荘に関連したお話をしてくださいました。友愛山荘の「友愛」という言葉には、かつての山荘の持ち主であった鳩山一郎氏の思いが込められています。戦後、鳩山氏は、EUの原点となる理念を提唱したクーデンホーフ・カレルギーの著作に出合います。その考え方に共鳴し、クーデンホーフ・カレルギーの著作を日本語に翻訳した鳩山氏は、日本に広く「友愛」の精神を広めようと尽力されました。人間塾での教えも共通したものがあります。自らの持てる能力を惜しみなく発揮し、社会に貢献することを胸に、私たちも日々人間塾で学んでいるからです。
次のセッションでは「mission」とはどういう意味かという仲野塾長の問いかけから始まりました。この単語は使命という意味はもちろん、宣教、そして派遣を表す言葉であると教えてくださいました。つまり、使命とは、自分の予期しない場所に遣わされることでもあります。自分の好き嫌いにかかわらず、その場所、その事柄に仕えさせられるかもしれない。しかし、逃れられないその環境の中で精一杯やっていくことが、使命に繋がるのだと塾長はおっしゃいました。
このお話を聞いた塾生から、様々な疑問や意見が出ました。その中でも印象的だったのは、使命がこれだと確信を持つことができないという塾生に対する塾長の答えです。使命とは、何度もこれなのだろうかと問い直す必要があると仲野塾長はおっしゃいました。そして、どこかで必ずぶち当たります。そうして考え続けることで、偶然に思えた出来事が必然となり、次第に当然になっていく、それが本当の使命であるといわれました。偶然から必然になりそして当然に変わっていく・・・・、その言葉に私たちは感嘆の声を上げました。
私たちが与えられている大切なものに、「愛」があります。次のセッションでは、愛の本質について話し合いました。依存のような仮面の愛は、相手を手離したくなくなります。しかし、本質的な愛とは相手の成長を願うこと、より良く育つことを祈ることです。それには自立が伴います。愛した相手が離れて行くことを受け入れなければいけません。
さらに塾長は、「愛とは何かのために働くことである」というフロムの言葉を紹介してくださいました。最初はピンとしていなかった塾生にも、質問を通して塾長は教えてくださいます。愛する存在そのものと、それの成長を、積極的に気にかけることがキーワードである、と教わりました。積極的な配慮のないところに愛はないと、塾長はおっしゃいました。気にかけるだけが愛なのか、という塾生からの問いに対して、配慮の気持ちがあったらそこには必ず行動が伴うはずであるという答えを聞いて、私自身深く考えました。そして、たしかにその通りであると納得することができました。
使命、そして愛について考えを深め、それぞれの塾生が、自分がやらなければいけないことは何なのか、そして本質的な愛を実践できているのか、見つめ直す一日となりました。