ヤングセミナー
【レポート】人間塾2017年度第14回ヤングセミナー
2017年12月12日
人間塾 第6期生 宮田理香
(上智大学2年)
冬の寒さを感じる11月30日、第14回ヤングセミナーが開催されました。今回のセミナーには、人間塾に入塾を希望している学生二名が見学に来られ、一緒に仲野塾長のお話を聞きました。
セミナーの始めに、先週私たちが鑑賞した「振り返れば、道」というお芝居についてのお話を聞きました。この作品は、三井記念病院の髙本眞一院長の秘書である吉村沙織さんが、脚本を書かれたものです。三井記念病院の前身である三井慈善病院は、患者から診療費を取らない無料診療の病院として明治42年に設立されました。この設立の背景には、三井財閥の総領である三井八郎右衛門高棟(たかみね)と、三池炭鉱を皮切りに、三井財閥の為に奮闘した団琢磨という二人の人物の存在がありました。
彼らは個人の利益よりも、国民の健康や福祉を第一に考え、社会貢献に生涯を捧げた人物でした。多彩な才能と優れた人脈で利益を生み続ける産業を築き上げ、莫大な資金を世の中に還元することに奮闘しました。その一方で、彼らの成功を妬(ねた)む存在を避けることはできませんでした。一般的に企業は収益事業により成り立つものであるのは当然です。しかし、その利益よりも人々の幸せのための志をもとに活動する高棟達を見て、違和感を覚えた人々も中にはいたのです。偽善者だと後ろ指をさされ、命の危機が迫っていることにも臆せず、国民の幸福を願い続けた高棟達の姿に感銘を受けました。
こうした彼らの生き方は、人間塾の活動理念に相通じるものがあります。私たちにとっての高棟は誰かと塾長に問いかけられた瞬間、私たち塾生に奨学金だけではなく活動の場やそのサポートを与えて下さる人間塾の創立者・井上和子さんの存在を思い浮かべました。井上さんは、自分に与えられたものを世の中に還元できる若者を育てたいという一心で私たちの成長を日々見守って下さっています。私たちはそのような期待に応えるべく、今人間塾で学んでいることを、今度はどう社会に活かすことができるかということを常に考えながら行動しなければなりません。私たちの人生を豊かで輝きのあるものにしたいという志に出会うことができたこと、その出会いに感謝したいと感じたセミナーでした。
引き続いて、塾長は志についてある人物の例を出しながらお話されました。雇用主が従業員100人を雇っている場合、かりに従業員一人当たりの家族が3人いたとすると、残りの300人の生活も視野に入れて、併せて400人の生活に責任を持つ必要があるというのです。一人ひとりの従業員にとって大切な人を含めた400人の幸せを願うのが責任者の役目であるのだと学び、心配りについて深く考えさせられました。
今回のセミナーを通して学んだことは、「心の充実感を持って生きる」ということです。これは三井高棟と団琢磨、人間塾に共通して備わっているものであり、世の中をより良くしていく上で純粋な気持ちが原動力になるということを学びました。そこにおいて最も大切なのが、奢り高ぶらない謙虚な自信です。たとえ誰から理解されなかったとしても、自分の内に心の充実感を持っていればそれが自信につながります。私も、偽りの自信ではなく心の充実感から湧き出る自信を身につけていきたいです。