ヤングセミナー
【レポート】人間塾2017年度第3回ヤングセミナー
2017年5月20日
人間塾 第5期生 石川凜太郎
(千葉大学4年)
お遍路研修を終えて初めての研修だった5月11日、第3回ヤングセミナーが行われました。塾長はお遍路に関連して若い頃にイタリアの巡礼地にいかれたときのお話をされました。
そこはアシジという町で、ローマから汽車に乗っていくと小高い丘の上に現れます。当時塾長はアメリカに留学されていたのですが、日本の病院に入院されている友人の体調がすぐれないこともあり、巡礼地を訪れることにされたそうです。順調に旅は進んでいましたが、アシジまであと10分ほどに迫ったところで突然体調不良に襲われました。それでも教会に向けて歩を進めました。アシジにはフランシスコ教会とクララ教会という2つの教会があり、その二つを巡ったあと、街並みを観光して帰るのが一般的です。汽車を降りてから教会に向かうにはバスに乗り、その二つの教会を順に巡っていきます。しかし、塾長が訪れた時は違いました。普段先にフランシスコ教会に停まるはずのバスがこの日はなぜか先にクララ教会に先に止まったのです。重い体に鞭打ち、クララ教会にお参りして観光する間も無く、友人にフランシスコとクララの姿が描かれた記念の品をお土産に買ってアシジを後にしました。すると今までの不調が嘘のようにすーっと消えていったそうです。
その後、ローマからスイスに移動した塾長は、友人に向けてお土産に手紙を添えて送りました。数日後驚くべき知らせが届きました。入院していた友人が亡くなったというのです。お葬式に向かいたいところでしたが、当時アメリカに留学していたため日本に向かうことができませんでした。手紙がきちんと友人の手に届いた気がかりだった塾長は、葬儀に参列する予定の人にそのことをそれとなく聞いてもらうようにお願いしました。
すると、なんと受け取った直後に、友人は日本の病院で亡くなったことがわかりました。実は、クララ教会のクララという名を塾長がその友人の洗礼の際にクリスチャンネームとして贈ったことがありました。つまり、名付けのもとはこのクララ教会に所縁があったのです。
普段なら先にフランシスコ教会に停まるはずのバスが、その日はたまたまクララ教会に停まったこと、塾長が突然の体調不良に襲われて早く旅を切り上げたこと、常識では考えられないほど短期間で国際郵便が友人のもとにとどいたこと。そういったいくつもの偶然の重なりのなかで、友人の人生の最後の日々がありました。
物事の意味は起こった際にわかるものではありませんが、あとになって、それらの点が線となって意味を生じてくることがあります。そういった機会を見逃さず、自分に起こった出来事が、自分に何を語りかけているのか、人生においてそれらの線がどう結びついてくるのか考えられるような人間になりたいと感じたセミナーでした。