ヤングセミナー
【レポート】人間塾2017年度まとめ合宿一日目
2018年3月3日
人間塾 第6期生 落合悠人
(東京大学4年)
まだ冬の寒さの残る2月24日から2017年度のまとめ合宿が始まりました。例年と同じく静岡県裾野市の広大な自然に囲まれた不二聖心女子学院内の宿泊施設で行われました。元北浜銀行頭取で、関西で有名な実業家であった岩下清周は自給自足のための農園を作り、農園の子どもたちのための学校を建てました。その時の名残りが、今の不二聖心女子学院の中にも残っており、農園の一部の茶畑が見事でした。
私を含め6期生にとっては初めてのまとめ合宿で、2期生の先輩方にとっては5度目となります。今回も、この1年間の学びや実りを振り返るとともに、今の課題を明確にし、これからの人生への覚悟を決めることを目的として開催されました。
はじめの課題は「この1年間で最も心に残ったエピソードを挙げ、何がどう自分の心に響いたのか説明せよ」というものでした。この課題に対する答えを考えるために自由時間が与えられ、塾生は外に出て、各々が心の落ち着く場所で考えをまとめました。
セミナー部屋に戻って塾生は順番に自分の心に残るエピソードを発表し、塾長がそれに対してコメントをしてくださいました。何人かの塾生の発表とそれに対するコメントがされた中で、ある塾生が「目立とうとするな」と塾長に言われたというエピソードと、それに対する塾長のコメントが印象的でした。目立ちたいという気持ちで行動した場合、その欲が滲み出た品の悪い目立ち方しかしない。むしろ、目立ちたいという気持ちを捨てて真摯に取り組んだ時に初めて人の心に残る。つまり本当の意味で目立つことになる、ということでした。これからの人生において、人の目につきやすい役回りになることもあれば、裏方のような目立たない役回りになることもあるはずです。納得できないときでも与えられた役割に本気で取り組むことによってその人は輝くことはできるのです。そして、そのとき新たなものの見え方が得られるという塾長の言葉を聞き、どんな人生でも受け入れてその中でできる限りの努力をすることが大事なのだと学びました。
次の課題は「この1年間でどのような実りがあり、今後どのように生かしていきたいか、これからの展望とともに説明せよ」というものでした。この課題でも各々が発表して塾長がコメントをしてくださいました。ここでは、「お互いが成長を求めあう間柄に愛が存在するという学びと、それを実感できたという実りがあり、今後出会う人たちとも成長しあえる関係を作っていきたい」という塾生の発表に対し、塾長が「平行線で生きている人たちをつなぐ斜めの線を生きてほしい」とおっしゃったのが心に残りました。例えば、お金のような「物質的な豊かさ」を第一にする人と、人とのつながりのような「精神的な豊かさ」を第一にする人がいたとき、その2人の意見は平行線をたどり、互いに交わることはありません。その2直線のどちらとも交わることができる、すなわち両者の意見を理解して仲介できるような人がいればこの2人はつながることができます。それはまさに人間塾の掲げる「社会に生きて人と人とを結ぶ存在」ということなのです。成長しなくてはと思うと、つい自分のことばかりに目が向きがちになってしまいますが、意見や価値観の異なる様々な人たちと関わることで、人と人の間をつなぐことのできる存在になることを忘れてはならないと思わされた瞬間でした。
この日最後のセッションでは、「これからの課題」、「自分が言われて嬉しい言葉」、「自分が言われて辛い言葉」、「他人が言っているのを聞きたくない言葉」を次々に問われ、その場で全員が答えていきました。これらの問いに対する答えには自分の性格や考え方が現れてきます。そこから、自分の考えの核となっているものは何かを考えてみなさいという指示をいただき、この日のセッションは終わりとなりました。
1日目はゆっくりと時間をとって1年間を振り返ったことで、学びや成長を実感することができました。2日目の分かち合いで他の塾生の成長の歩みを聞くのが楽しみになりました。