ヤングセミナー
【レポート】人間塾2017年度軽井沢合宿三日目
2017年9月28日
人間塾 第5期生 曽根和輝
(東京大学4年)
軽井沢合宿最終日の午前中、各自が思いを語り合う「分かち合い」が行われました。それに向けて前日は、多くの塾生が夜遅くまで自己と向き合い、この合宿での学びを深めていました。塾生の中には考えをまとめるために明け方まで起きていたという人もいました。
しかし、眠気は朝起きて日の光を見たときに吹っ飛びました。台風が軽井沢を過ぎ、2日目までの雨が嘘のような晴天だったからです。友愛山荘でおいしい朝ごはんをいただき、みんなそれぞれの決意や悩みを胸に、分かち合いに望みました。分かち合いのテーマは「この合宿で得たこと」でした。それぞれの塾生が1人2分間程度で語り、その内容を共有し、塾長がそれに対して質問や示唆を投げ掛けてくださいました。
この分かち合いは塾長と塾生1対1の対話ではなく、参加者全員がつながり、他の人の分かち合いからも人生の重要な気づきが得られるものです。そして、私のとても好きな時間です。私は、合宿で得た気付きとして、「自分のしたことが良いか悪いかといった評価や判断をするのは相手である。だからこそ、相手の期待や評価を気にして一喜一憂するのではなく、自分の中にある信念に従って生きていこうと決意した」と発言しました。いままで私は、期待や承認といったことに囚われて生きている部分がありました。それをいままで捨てるべきだと思いつつもできていませんでした。しかし、今回の合宿で塾長が「人がどう感じるかは相手次第である」「自分の人生の主人は自分である」と仰り、それがきっかけで本当の意味で、期待や承認に囚われて生きるべきではないと腑に落ちました。
現在、アルバイト先で、私の専門分野とは関係がない誰でもできる単純作業をしています。それは、できて当然の内容でほめてもらうようなことではありません。しかし、誰かのために自分ができる限りのことをするべきだという信念に従い、どんな単純作業でも真心をこめて正確にしなければいけないと思いました。これは社会に出てからも同じだと思います。
また、ある塾生の分かち合いの中で、印象に残っている場面があります。その塾生は中国語が堪能なので、翻訳の仕事に携わりたいと言いました。しかし、塾長は、「あなたから中国語をとったら何が残るのか」と問いました。これは、できること、得意なことを自分の存在の証明に使うのではなく、人の土台にあるのは人間性であるということの示唆でした。私も、できることや肩書きを増やすことによって存在が証明できるような気がしている時期がありました。しかし、そうではありませんでした。どんな場面でも、最後に問われるのはその人の人間性だからです。だからこそ、人間塾で人間としての土台をしっかりと作っていかなくてはならないと感じました。
分かち合いが終わり、塾生はみんなすがすがしい顔をしていました。それは、合宿を通して成長を感じるとともに、これから生きる上での決意ができたからだと思います。塾生はそれぞれ様々な分野の勉強をしていますが、高い志を持っていることは共通しています。仲間とともに、自分と真正面から対峙した合宿での学びは、これからの人生の財産になると感じた合宿でした。