ヤングセミナー
【レポート】人間塾2015年度第21回ヤングセミナー
2016年3月11日
人間塾 第2期生 吉田辰哉
(東京理科大学4年)
今回のセミナーは、今月5日から6日にかけて行われるまとめ合宿直前のセミナーということで、一年のまとめにつながるテーマが塾長から投げかけられました。それは、「あなたにとって、あなたの人生にとって、宝とは何か」という問いでした。宝というと様々に意味が広がるため、ここで塾長は「人との出会いにおいての宝」と条件を加えました。
この難しい問いに塾生たちは次々に自分たちの考えを述べていきます。理想を追い続ける人との出会い、勉強ができるだけでなく人を惹きつける魅力を備えた人物との出会いなど、これまでの人生の中で記憶に深く刻まれている出会いを、塾生たちは語っていきました。
何人かの塾生の意見を聞きながら、塾長はさらに話を深めていきます。宝になるような出会いとは、自分自身を揺さぶり、時には何かを崩されたりする出会いであると、塾長は説きます。崩されるというと一般的にはあまり良いイメージではありませんが、幹に傷をつけることで漆(うるし)が滲み出てくるように、人間も傷を負ってこそ滲み出てくるもの、すなわち持ち味が生まれると言われました。そして、その滲み出てきたものこそが自分自身の宝であると。
宝とは、人から与えられるものではなく、人から揺さぶられ、崩されることによって自分の中から滲み出てくるものなのです。居心地の良い場所にいれば、傷を負うこともなく表面的にきれいな状態で過ごすことはできるかもしれません。しかし、それでは自分にしか咲かせられない花を開かせることはできません。ひとかどの人物になるために、人一倍苦労し、挫折し、反省し、悩んでこそ、自分の中に隠された宝を掘り起こすことができるのだと思いました。
人は誰しも安きに流れていくものです。私自身も傷を負いたくないし、表面的にきれいな状態を保って最後まで生きたいと心のどこかで思っています。しかし、私たちには人として、人間塾の塾生として、「なるべき姿の自分」というものがあります。傷を負うことを恐れず、なるべき姿の自分に向かって自分を磨き続けることができるのか。人間塾での一年の学びが佳境を迎えたこの時にふさわしい、塾生としての生き方を問われたセミナーとなりました。