ヤングセミナー
【レポート】人間塾2015年度第19回ヤングセミナー
2016年2月13日
人間塾 第4期生 遊馬奈歩
(慶應義塾大学4年)
2月4日、朝夕の冷え込み厳しく、学生は皆試験やレポートに追われる時期ですが、それだけ一層、人間塾の内側はより温かく、より特別な時間に感じられるものです。
「君はそう捨てたものじゃない!」これは、2月7日付のカトリック新聞に掲載されている、仲野塾長による連載コラムからの一言です。セミナーの初めに配布された「若者へのメッセージ」と題されたこの新聞の一枠には、塾長が日ごろ人間塾を通して私たちに伝えてくださっている想いがこめられていました。塾長は私たちに言います。「あなたはそう捨てたものではないよ。自分の人生は自分のもの。君は愛されていいんだよ」
この一言を欲し、待ちわびている人が、どれだけいるでしょうか。いえ、多くの場合はこのような言葉さえ知らずに、どうしたら自分を認めてもらえるか、もがいているのかもしれません。ときには優秀な成績をおさめることで、ときには悪ぶってみせることで、心の奥底から、自分のことを見てほしい、気にかけてほしい、そう願い、もがいているのです。
そのようなとき私たちは、自分を肯定するためには条件が必要だと誤解してしまうことがあります。
今回のセミナーを受けながら、私はつい数か月前までの自分を思い出していました。「成績が良かったら、きっと私は優秀だと認めてもらえる」「良い企業にいけなかったら、私は認めてもらえないかもしれない」。そんな条件付きの自分の存在の価値に期待や不安を抱いた経験が、私にもあったのです。しかし振り返ってみれば、自分を肯定するための条件の数々は、私の価値を決して保証してくれる訳ではなく、むしろ私に失敗を恐れさせ、自分の自分に対する評価を危うくさせていきました。そして、それらの条件の鎖を外してくれたのが、帰省した際の両親の言葉であり、塾長面談での塾長からの言葉だったのでした。それは、私が「試験で合格したから」「資格を持っているから」ではなく、ただ「私であるから」信じているという思いのこもった言葉でした。その思いが、どれだけ私を安心させ、励ましたことでしょうか。
結果に関係なく、ただ信じつづけてくれるその温かさに、始め私は驚きました。塾長は、それを「無条件の愛」と仰いました。ただその人を思い続け、信じ続け、願い続ける。そこには何の証拠も確証もありませんが、しかし、たしかに人を強くすると、私は自分の経験から感じています。塾長の言葉を借りれば、愛という「心の中に溢れんばかりに流れる水脈」を、私は両親から、塾長から与えられてきたのでした。
私たち塾生は、この水脈をこれから先、自分の子どもに、自分の周囲の人に、与えていく使命を担っている、そう強く噛みしめたセミナーでした。