ヤングセミナー
【レポート】人間塾2015年度第2回ヤングセミナー
2015年5月3日
人間塾 第2期生 蘆川尭
(東京医科大学4年)
4月23日木曜日、今年度第二回目のセミナーが行われました。
はじめに、塾長が「何か質問はありませんか」と塾生たちに問いかけると、小豆島の遍路研修の前ということもあり、ある塾生から「遍路研修を有意義に過ごすにはどうすればいいか」という質問が出ました。すると塾長は、遍路の時に唱える般若心経が作られた経緯とその現代訳を教えてくださいました。
そもそも、般若心経とはブッダが作ったものではなく、釈迦の死後500年ほどが経ったころに、大乗仏教という新しい宗教運動を信奉する人々によって作り出された般若経の一部だそうです。釈迦の教えを頑なに守り続けた宗派(上座部仏教や小乗仏教といわれます)は修行を通じての「自己救済」を軸においていました。しかし、それに異議を唱えた大乗仏教の布教者の思想は「他者救済」を目指すものでした。
私は、今まで遍路研修には2度行ったことがあります。お寺の前で何度も手を合わせて般若心経を唱えるうちに、自然とその言葉を覚えてしまいました。しかし、その経緯や現代語訳を学んだことは初めてでした。今年の遍路研修では、その意味を噛みしめながら、一つ一つのお寺でお経を唱えていきたいと思いました。
続いて、次回のセミナーの課題ということで、サン=テグジュペリの言葉の一節が紹介されました。この意味を考えてくるように宿題が出されました。
「誰かが作った大聖堂の貸椅子係の職にあわよくば雇ってもらおうと考えるような人間は、すでにその瞬間から敗北者だ。それに対し、その胸の中に大聖堂を建てようと夢を抱いている者は、すでに勝利者だ。」
塾長は、考える上でのヒントをいくつか下さいましたが、私の中では、これこそ遍路研修に繋がる話ではないかと感じました。一昨年、昨年と小豆島で出会った方たちは、お寺に勤めていなくともその心の中に揺るがない大切な気持ちを持ち続けているように感じられました。今年の遍路研修も、また実り多い機会になるだろうと私に予感を与えてくれたセミナーになりました。