ヤングセミナー
【レポート】人間塾第四回修了式
人間塾 第3期生 小平寧々
(聖心女子大学4年)
連日の雨空も、この佳き日を祝うかのように束の間の晴れ間を見せた去る3月13日、一般財団法人人間塾第四回修了式が挙行されました。
人間塾では奨学金支援や活動助成、セミナー・講演会などの活動が年間を通して行われており、年齢も所属も全く異なる多様な人々が集っています。その中でも、ヤングセミナーには大学2年から4年までの学生約20名が所属し、互いに切磋琢磨しています。従って、短い者は1年、長い者になると3年をかけて、自らに与えられた可能性を探し、それを磨き、この社会の中でそれを惜しむことなく使っていくための学びを深めているのです。そして本年度は、大学卒業を迎えた4年生の塾生7名が修了生として送り出されました。
私もその7名の内の一人でありますが、さて、皆さんは「修了生」と聞いてどのような印象を受けるでしょうか。学びを終えた者というイメージ、人間塾の理念をすべて理解できた者という印象を持たれるかもしれません。
修了生には、毎年、仲野塾長から一人ひとり異なる文字が書かれた「書」が記念として渡されます。在塾生として修了生への書の贈呈を見ていたとき、私は、修了生たちが人間塾での学びを終えたことを記念してこの書をいただいているのだと思っていました。しかし、いざ自分の手に書が渡されると、それは全く異なるものとして見えるようになりました。書には、私が修めたものが書かれているのではなく、むしろ、これから学び、得ていかなければならないものが書かれていました。それは、他の修了生もきっと同じだと思います。ですから、私は、いただいた書を見るたびに達成感や満足感ではなく、社会へ出るにあたり積み残した課題を思ってどきっとする気持ちを覚えます。
ただし、人間塾には「卒塾」という言葉はありません。なぜなら、人間塾では一生涯を懸けた問いに向き合うため、その門をくぐった者は皆、生涯、塾生として学び続けるからです。このことは、積み残しがあっても、まずは今できる精一杯の自分を修了したことを教えてくれます。そして、自信と誇りをもって、塾生として社会で生きていくよう、背を押してくれているように感じています。
人間塾では、時に悩み苦しみながら、また時に大きな愛情、友情に包まれて、ありのままの自分と向き合い、自分に与えられた使命を見極め、それを生き抜くための覚悟を決める練習をたくさんしてきました。与えられたものを多くの人と分かち合い、惜しみなく自らを世のため人のために使っていく責任を学んできました。何よりも、自分がいかに愛された存在であるかを感じてきました。4月からは各々異なる場所へ派遣され、また新たな日々が始まることと思います。しかし、人間塾での経験は、生涯、私を支えるものです。塾生としての学びを、派遣されたその場所で継続していきたいと思っています。仲野塾長の祝辞にもありましたように、社会を織りなす「糸」の一本として人々と繋がり、人々を繋げ、私なりの色や風合いをもってよりよい世界のために貢献できるよう歩んでいくことを、ここで誓います。