ヤングセミナー
【レポート】人間塾2015年度小豆島・遍路研修(第三日目)
2015年5月8日
人間塾 第4期生 遊馬奈歩
(慶応義塾大学4年)
お遍路二日目は、下半身の筋肉痛が想像以上で、その驚きから一日が始まりました。外に出ると前日の雨は上がっており、空気は少しひんやりと、ツツジには水滴が光る爽やかな朝でした。
歩き始めてみると一日目と比べ脚がずっと重く感じられ、一歩一歩踏みしめて進まなければなりませんでした。それでも、そうして進んでいくなかで何度自然の美しさに心を奪われたことでしょう。一つ目の山を登っていく途中、木々の向こうに現れた靄の立ち込める海。その靄の中に浮かんでいるかのように見えた幻想的な島の姿。足元の赤や黄色の落ち葉。大きな大きな木のトンネル。見上げるような竹藪の道。出発時には再びの雨が危惧されていましたが、日中にはまぶしい陽が葉の合間から差し込み、札所に近づくにつれ額に汗が吹き出しました。
お昼に訪れた大師堂では、勤行を終えるとすぐ「おうどん」のお出汁の良い香りが漂ってきました。そこでは昼食とともに先達・森下さんの奥様達が釜からあげたてのおうどんをご馳走くださったのです。一口ずつ、つるっとした麺の触感が嬉しく、「おあげ」の甘味がお腹にじんわりと広がりました。さらに、昼食後には木陰の下で大師堂の方々が『二十四の瞳』の紙芝居を披露してくださいました。ご夫妻からお話をきくと、これまでのべ五千人以上もの方々に披露してきたとのことでした。紙芝居の最後に伝えられた愛情のこもった力強いメッセージは、今も昔も変わらない純真な子どもたちを守っていきたい、そして、そのためにも私たちは戦争を語り継ぎ、二度と惨劇を繰り返してはいけない、ということでした。私は、改めて自分たちがたくさんの方々に守られてきたこと、そして、成長した私たちもまた、次の世代を守ること、次の世代のために平和を愛し続けることを使命にしていると感じました。
残りの道中でも木に実ったサクランボをお裾分けしていただいたり、湧水を飲ませて頂いたり、人にも自然にも、天候にも恵まれた一日でした。
宿に帰る頃には脚が鉛(なまり)のようになっていましたが、今日一日を終えた気持ちよさと、たくさんの方から受けた優しさに、心がいっぱいの一日でした。