ヤングセミナー
【レポート】人間塾2014年度第16回ヤングセミナー
2015年1月30日
人間塾 第3期生 小平寧々
昨年4月に始まったヤングセミナーも、今年度は残すところわずか4回。
本日のセミナーでは、仲野塾長より、残り4回で考えるべき4つの課題が与えられました。
1、主体性
2、広い気付きと深い洞察
3、自由の活用とそれに伴う責任・義務
4、人間塾塾生としての自覚と生き方
その中でも今回は、「主体性」と「自由の活用とそれに伴う責任・義務」の問題について、夏目漱石が今から100年前に行った講演内容をたどりながら投げかけをいただきました。
キーワードは、「他人本位」と「自己本位」です。
「他人本位」とは、他者に頼った価値観に依っている状態のこと。「なんとなく」に流され、それなりに与えられたものはこなしているけれど、特別にやりがいを感じているわけでもなく、どこか不安を拭えない、そんな状態を表します。
対して「自己本位」とは、自分の人生において主体的に在る状態のこと。自分自身の中に揺るぎない価値観を有し、‘これぞ私の生きる道’という湧き上がる希望を抱いている状態を表します。そして忘れてはいけないのが、この「自己本位」は正しい個人主義の上にあってこそ「自己本位」になるということです。能力や技術、知識、知恵、権力、お金など、自らに付随してくるあらゆるものを自由かつ最大限に活用し、他者の幸せのために働く義務と責任を担う在り方をいうのです。すなわち、正しい個人主義に立ってこそ、「自己本位」な生を歩むことができ、何の責任を負うことなく主体性ばかり求める利己的な生き方は、単なる「自己中心」な生に過ぎません。しかし、多くの責任と義務を背負いながらも、自由に「自己本位」な生を歩む時はじめて、私たちは「生きがい」を手にすることができるのだと仲野塾長は語ります。
この「他人本位」と「自己本位」の話を聞き、私は自分自身のこれまでを振り返らずにはいられませんでした。失敗することを恐れ、大学進学や職業選択など人生に関わるような選択はすべて、先生や親の言うとおりにしてきました。そんな私が、自分の生き方に疑問を抱き、自分の本当の望みを求めていく人間塾での歩みは、そう簡単なものではないように思います。他人本位な生き方を自覚することさえ、それに慣れている人にとっては難しいことです。その上で「自己本位」な生き方を得ていくことは、生半可な覚悟では実現しないでしょう。
「自己本位」な生き方を得た瞬間は、まるでツルハシでかちん、と「鉱脈」を掘り当てた感覚に似ていると塾長は話します。しかしその鉱脈を掘り当てるには、長い時間を空虚さの中で過ごさなければなりません。たとえ鉱脈を見つけることができても、この現実社会で生きていく限り、妥協しなければならないことも多々あるのです。漱石自身、自分の作家人生を振り返り、「本当に書きたいものを書くために、多くのつまらないものを書いた」と評しています。
しかし、妥協の多い人生であったとしても、そこで諦めず、流されず、生きていきたいと思います。そしてどんな一歩を踏み出すにしても、人生の豊かな鉱脈を掘り当てる一歩として選んでいきたいと感じます。自分の人生を価値あるものとして生きていきたいと考えたとき、「自己本位」を得るため、「他人本位」に流されやすい自分と戦っていくことを心新たにしました。
奇しくも2月14日には、今まさに「鉱脈」を掘り当てんと奮闘している塾生主催のキャリア・シンポジウムが開催されます。私自身、まだまだ弱い自分との戦いの歩みではありますが、参加してくださる方とご一緒に、人生の鉱脈を掘り当てる一歩としてさまざまな進路に向き合いたいと、シンポジウムへの意識をより一層強くした学びでもありました。