講演会

【レポート】人間塾2022年度第一回東京講演会

2022年7月19日

2022年7月3日に、第一回目となる人間塾東京講演会を開催しました。

人間塾の会場は25名までの人数制限をさせていただきましたが、お陰様で満席となりました。ご希望に合わせてオンラインでのご参加の方が数多くおられ、熱のこもった講演会になりました。
ご参加くださった皆様に厚く御礼申し上げます。

テーマは「善く生きるために」とし、今回は哲学者ソクラテスから、現代の詩人シンボルスカまで、「無知」について考えました。

今回のレポーターは第11期生の北島真綾です。
是非ご一読ください。

塾長・仲野好重

人間塾 第11期生 北島真綾
(千葉大学2年)

去る2022年7月3日、人間塾東京講演会の第一回目が行われました。

まず講演会では、仲野塾長からソクラテスの『無知の知』についてのお話がありました。ソクラテスは、自分に知恵がないことを自覚することが本当の意味での知恵であり、知識をたくさん持っている人ではなく、自分の無知を自覚している人が実は最も知恵あるものだと述べました。

今までの私は、自分の無知さを感じることはありましたが、その状態を否定的に捉えていました。しかし、仲野塾長は、無知を自覚することで、知ろうとする好奇心や学ぶ意欲が生まれるとおっしゃいました。さらに、謙虚になって自分がわからないことを他の人に教えてもらおうとすることで、人と人とのつながりも生まれます。これを聞いて、無知ということに恥ずかしさを感じたり卑屈になったりするのではなく、自分のありのままの状態を素直に受け止めて前向きに捉えたいと感じました。

次に、仲野塾長から、ポーランドの詩人であるシンボルスカの紹介がありました。シンボルスカは、「インスピレーションは、自分が知らないということの自覚から生まれる」と述べています。著作とは、現在の自分に満足せず、もっと知ろうとすること、もっとよいものを生みだそうとすることの繰り返しだ、とシンボルスカは述べました。自分の現状に満足してしまうとそれ以上の成長はありません。思い返すと人間塾に入塾する前の私は、毎日を漫然と楽しく過ごしている状態に満足していました。しかし人間塾に入塾して、自分の今まで知らなかった新たな世界をたくさん教えていただき、自分の未熟さを痛感しました。身に着けるべき教養や、学び成長しなければならない部分がたくさんあることに気が付くことができたことに、大変感謝しております。

人間塾2022年度第一回東京講演会:塾長の熱弁

塾長の熱弁

講演会では、最後にシンボルスカの代表的な詩で、戦争について扱った『終わりと始まり』を読みました。「歴史は繰り返す」との言葉があるように、どんなに戦争の被害が大きく、どんなに多くの人が苦しんでいても、時間が経つにつれ、戦争の悲惨さは社会の中で忘れられていき、惨禍が繰り返されているという現実が訴えられている詩でした。戦争の原因と結果を知らない人々は、自分が凄惨な過去があった地で平和に生きているということも知らないのです。そして、自分はよく知っていると傲慢になるのが、戦争の主犯となる独裁者や煽動家たちです。この詩はかつてのポーランドとロシアの関係を謳っているのですが、ウクライナが現在再びロシアとの激戦地となっていることは大変な皮肉に思います。私は、知っていることに満ち足りて優越感に浸って傲慢になることも、知らないことに気が付かず平和に漫然と暮らすことも、どちらもとても危険なことだと思いました。

しかし実際には、自分の専門分野について学ぶことに集中するあまり周りが見えなくなり、より広い視野で様々な物事を捉えることができていないことが、私自身にも多々あります。仲野塾長は、どのような場面においても、その場面を豊かにすることができるようにする根本を作るものが学問であるとおっしゃいました。人間塾での学びを通し、狭い価値観や専門といったことにとらわれず、幅広い教養をもった豊かな魂を養うことのできる人になれるように努めて参りたいと思います。

人間塾2022年度第一回東京講演会:講演会が終わって
講演会が終わって




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