講演会

【レポート】2019年度東京講演会第1回

2019年7月11日

人間塾 第7期生 藤原涼香
(慈恵会医科大学3年)

2019年7月7日、塾長による人間塾東京講演会の第1回目が開催されました。今回の講演のテーマは、「人間の品格と教養を取り戻す〜社会変革を目論んだ福沢諭吉から小泉信三への人間観に学ぶ〜」です。

テーマには、「人間の品格と教養を取り戻す」とあります。「取り戻す」ということは、今の人々は品格と教養を失いつつあることを示唆しています。塾長は、昨今の社会において人々が品格と教養を失っていく様子を危惧し、このテーマを選んだのだとおっしゃいました。

まず、福沢諭吉の学問のすすめを紐解いていくと、何度も登場する「教養」という言葉が引っかかってきたのだそうです。

教養とは一般的には、よくものを知っていることや、知識の豊かさを表すとされています。しかし、中国では、教養は人格的なもの、すなわち道徳的に立派であることを指します。教養を身に着けるためには知識を得るだけではなく、人間的な修養が必要になります。塾長は、単に知識を持っていることは重要ではなく、人間としてどうあるべきか日々考えながら生きることが大切だと強調されました。

2019年度人間塾東京講演会第1回:熱く語りかける塾長

熱く語りかける塾長

講演の後半では、福沢諭吉と小泉信三の人間観に基づいて、品格と教養を身につけなければならない理由が論じられました。

福沢諭吉は「学問のすすめ」において、人々の平等性を訴えているのではありません。知性と行動力を兼ね備えた個人の自立を主張しているのだそうです。自由な社会において、国を動かし、国をどう作るか決めるのは国民です。だからこそ、国民一人一人が知性と教養を持って「この国はどうあるべきか」を考えるために勉強するべきだと説いたのです。

小泉信三は福沢諭吉の教えに大きな影響を受けた人物でした。彼の座右の銘は、「成るは天に在り、為すは我に在り、事の成らざるを憂うる勿れ、吾の為さざるを憂いよ」です。この言葉からは、うまくいくかどうかは神のみぞ知ることであり、自分の行動自体に責任を持つことが重要なのだと読み取れます。人々は、知識と識見を持った上での行動力を身につけるべきであり、これこそが品格なのです。

日本社会は今、だんだんと道徳的体系が弱くなってきています。モラルの低下は、国家の品位を低下させます。今の社会では知識型教育に比重がおかれ、本当の意味での教養は教えられていません。品格と教養を取り戻すことではじめて、日本という国をもっとより良い国に、より心豊かにしていこうといった動きが国民に芽生えるのだと学びました。

2019年度人間塾東京講演会第1回:真剣な面持ち

真剣な面持ち

今回の講演会を聞き、私が今まで取り組んできた受験勉強や大学の試験勉強は知識の詰め込みに過ぎず、教養からはかけ離れているのだと痛感しました。このような知識の詰め込みに偏った学習では、いくらたくさん勉強したとしても、他者の幸せ、ひいてはより良い社会造りに繋がるような行動はできません。真の意味での教養と品格を身に着けるのは、決して易しいことではないと思います。しかし、人間塾の塾生として学んでいる以上、目指さなければならない人物像です。人間塾での学びを通して人間性を養い、教養と品格を備えた人物となるべく日々邁進していきたいと思います。



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