講演会
【ご報告】石弘之先生講演会「人生を振り返って」
2014年3月6日
人間塾 第1期生 阿部シャントヌ
2月22日の土曜日、人間塾では石弘之(いし ひろゆき)先生による講演会が開催されました。石先生はご自身の仕事の関係で150ヶ国以上を訪れ、6つの大陸で住んだことのある大変豊富な経歴をお持ちの方でした。今回は「人生を振り返って(というより君たちの将来を心配して)」というテーマでお話をしてくださいました。
この講演会は出だしから他の講演会とは違う雰囲気で始まりました。先生はいきなり私たちに、「君はなぜ大学に行ったのか?」「最近どんな本を読んだか?」「君の人生のキーワードはなにか?」といった質問を矢継ぎ早に投げかけます。いずれも本質を突いた、答えにグッと詰まる質問です。後の講演のなかで、これらの質問の答えを明確にもつことが人生においてとても大切であるということが語られました。講演会の後には茶話会が開かれ、講演会に引き続き先生から貴重なお話を聞くことができました。茶話会では先生と話したい塾生が列をなし、順番を待つ光景が印象的でした。
たくさんのお話のなかで特に心に残った2点について述べたいと思います。
一つ目は、通過儀礼についてです。大人社会への仲間入りを表す通過儀礼(割礼やFGMなど)ですが、そのような文化に馴染の薄い私たちにとっては、理解できない事柄として否定されることがあります。しかし、私たちの生きるこの日本社会でも、「受験戦争」という通過儀礼が存在し、望むと望まないに関わらず、強制的に「受験戦争」という通過儀礼に参加させられている。それが現在の日本のことも達の現状であるということが指摘されました。受験戦争は、こども達に肉体的な傷は与えませんが、精神的な傷を残すことになりかねません。その存在そのものが自由であるこども達をいかにして守るべきかを、石先生が呼びかけていた気がします。
普段無意識に生きているだけでは気づかない、自らの文化を根本から問い直すこと。また、当たり前と思っていることを、もう一度見つめ直し、思考する力の大切さについて、自分自身、考えさせられるお話しでした。異文化を否定することは簡単ですが、自らの文化について客観的に考えることは難しいことです。しかし、文化を相対的にとらえながら、自らの文化を見つめることのできる感性を磨いていきたいと思いました。
もう一つは、好きなことを仕事にすること、というお話です。
石先生は就職後、新聞記者として様々な分野で記事を書く中、初めて認められたのは自然環境についての記事だったそうです。先生はこどものころから植物や昆虫などの自然が大好きで、その分野の記事を書くことで「水を得た魚」になられたのだと思いました。好きなこと、興味のあることを諦めずにやり続けた結果、日本の自然環境問題の第一人者になられたということでした。
人生の目標や夢のために行動するときに、ただ好きという理由だけで突き進んでもよいのだろうかと思い立ち止まることがあります。しかし、先生は行動するのに必ずしも壮大な動機は必要なく、単純な動機でも十分な場合はあるとおっしゃいました。実際に先生も鳥や自然に対する興味でアフリカを訪れ、その結果、長期にわたりアフリカで活躍することになりました。
私も世界で起こっていることに傍観者にならない人生を生きたいと思います。その為には、常に好奇心をもち、好きなことを追求し、自らを高めていきたいと感じました。