心に響く 講演・セミナー集

人生を語り継ぐ~その3~

でもそれをずっと語りながら、
こうだったああだったと、祖母なりに思い返すこと、
これはやっぱり一人でしないといけない作業でした。
私は聞き役です。
それを納得して語って、
乗り越えて受け入れて、
幸せだという結論を出すのは彼女一人の作業です。
ですからやはり人間は孤独なのです。
死を迎えるときには一人で逝かなければならない。
いくら大好きでも一緒には行けません、
しょせんは孤独な存在なのです。
生きることそのものは代理不可能なこと。
徹頭徹尾、誰にも代わってもらえません。
最初から最後まで、
私たちは孤独な存在であるという出来事に遭遇して、
それを背負って生きております。

めばえ

孤独を経験するからこそ、
人の温かみが分かります。
孤独ってつらいなと思うからこそ、
助けられ、助けたいと思います。
孤独という経験があって初めて、
人と共に生きるということのありがたみが分かってくる。
だから孤独を通らないと、
共に生きられないんじゃないかと私は思い始めているのです。
皆、だれもが孤独を背負って生きていますけど、
そういうときに他者との連携がほしいし、
共感したいし、仲間と共同作業をすることによって、
その孤独を乗り越えていけるものなのです。

どなたも孤独を経験されたことがおありでしょう。
この孤独の意味を探そうとする、考えてみる。
孤独は人とのつながりを生み出す原動力ともなるのではないか、
そういうふうに私は考えているのです。
(了)



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