心に響く 講演・セミナー集
人生を語り継ぐ~その1~
「生きていることは苦しみの連続に襲われること」
ということばがあります。
私たちはさまざまな危機をはらんで生きています。
時に生きていること自体しんどいなあ、
と思うことも多々あるわけです。
しかし、目の前にある苦しみや、
しんどさは自分で乗り越えていくしかない。
自分一人でやるしかない。
数ある苦しみの中でも、一番辛くしんどいことは、
死を迎えることだと思います。
私には大変尊敬する祖母がいました。
祖母が亡くなって10年以上が経ちます。
その祖母はしばらく病気を患い、
だんだん弱まって亡くなりました。
最後は検査入院だよって病院に入院し、
そのまま家に帰ってくることはなかったんです。
でも私は祖母のことが大好きだったので、
その検査入院の間に、何回も会いに行きました。
そこでいろんな話をしました。
祖母の生い立ちから始まって、
娘時代はどういう時代だったか。
戦争が大変だった話も聞きました。
戦後の復興期に、祖父といろいろ苦労をした話も聞きました。
いろいろと聞いてみると、ある年代になるまで、ずっと大変なんですね。
毎日毎日、祖母の人生を聞きながら、
1週間聞いてやっと人生の15年分という感じでした。
2週間、3週間くらい病院に入院していたでしょうか。
何日も重ねていくと、祖母の知っていたようで、知らなかった人生の輪郭が、
だんだんと見えてくる。
しばらくすると祖母の体調が思わしくなくなってきました。
そんな時期、ちょうど、
亡くなる2,3日前のことでしたが、
私はそのとき、ふと自分が学んできた心理学で、
関心のあったことを、祖母に聞いてみたくなったのです。
それはどんなことかというと、
「死を前にして、
あなたの人生はどんな人生でしたか?
幸せでしたか?あるいは、不幸でしたか?」という質問でした。
(続きます)