心に響く 講演・セミナー集
先の見えない世界に光を!~その1~
わたしたちの日常は、とても心騒がしい。
誰が勝って、誰が負けたか。
誰が得して、誰が損したか。
誰がいい人で、誰が悪い人か。
誰が裏切らない人で、誰が裏切る人か。
誰が友達で、誰が敵か。
そんな社会の中で、自分はどう評価されているか。
私たちは、たいてい市場原理の世界に放り出されます。
そこでたくましく、“大事なもの”を見失わないようにしなければいけない。
しかし、人間は無意識に利己的な目的を抱くと言われています。
私はアメリカで大学院生時代をおくりました。
大学院ではさまざまな競争があったのですが、
奨学金の申請をする時に、こんなことがありました。
ある日アメリカの友達とレポートを出しに行ったんです。
先生の郵便受けに入れて、「これで終わったね」なんて言っていると、
翌日先生から電話がかかってきた。
「仲野さん、あなたのレポートだけ出てないよ。
1回ちょっと大学に来てください」って。
「ええっー!出しましたよ」って言ったら、
ちょうど私と一緒に出した彼女も来ていて、彼女が出したって言ってくれた。
「おかしいなー、君のだけ無いんだよ」
って先生は言うんですけど、確かにちゃんと出しました。
実は私、20人の同期生の中で一人だけ日本人だったんです。
そして私は奨学金をもらっていました。
その奨学金には試験があって、試験に合格したら授業料が免除されるという、
とてもありがたいものでした。
だから、院生の皆も絶対ほしいんです。
私も前年度分はもらっていて、「来年も」って一生懸命応募しました。
他の皆も応募し、いよいよ審査がくだされるぞという辺りで、
レポートを出しに行って、「ない」って言われた。
「おかしいなー?」って言われて、
先生は、もう一回出してくれるかっていうから、
コピーを家に置いていたのですぐに持ってきました。
「ああこれでいいよ」ってことになったんですが。
その1週間後、半分だけ焼かれた私のレポートが出てきたんです。
ゴミ箱から・・・
(続きます)