心に響く 講演・セミナー集
ジュニアの夢〜その3〜
このNGOの名前はカパティというのですが、これはタガログ語で「兄弟姉妹」という意味の言葉です。NGOカパティでは、フィリピンのセブ島にある貧しい家庭の子どもたちを対象に奨学金事業を行っています。この事業はもう20年以上も続いており、たくさんの大学卒業者を送りだしました。
ある年に、私は、この奨学金事業の会計監査のため現地へ行きました。学生時代からお世話になっている教会へ行き、例のドン・ボスコ・センターも訪ねました。ずいぶんきれいになってるんですよ。昔はお世辞にもきれいとは言えないようなセンターでしたが、何度か改装もしたんでしょうね。居心地のいい施設になっていました。でもどことなく懐かしいのです。
そのセンターの一室で、レジーナさんと帳簿、領収証、銀行の残高などを照らし合せる作業をしていたのです。3日ほど詰めて作業をしたでしょうか。明日は日本に帰るという日の夕方です。そろそろ帰国の準備をしようかと思い、最後の片づけをしていましたら、ドアをコンコンたたく人がいるのです。私が「どうぞ」と言ったら、恰幅(かっぷく)のいい背の高い、笑顔のすてきな男性がそこに立っていました。
「こんな人、見たことないなー」と思いつつ、「なにかご用ですか」って、聞いたんです。そうしたら、ニヤニヤしてそこに立っているんです。「変な人だな」と思っていたら、「ヨシエでしょ」って言うのです。何だ?と思いつつ、「そうですよ」と答えました。そして、「あなたは?」って尋ねましたら、彼はニヤニヤしながら「僕のこと覚えてないの?」と言うのです。「一体誰だ、この男性は・・・」と頭の中の記憶をグルグルとたどりました。
(続きます)